2008年07月03日
イランのエチレン、5月は大量に中国に流入
11,403トンが通関、韓国に次ぐシェアに
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 中国によるオレフィンの輸入は5月も引き続き活発で、エチレンの総輸入通関数量は前年同月比47.7%増の61,495トンに、またプロピレンの総輸入通関数量は同75.0%増の85,546トンとなった。
 これに伴う1〜5月の累計はエチレンが前年同期比2.17倍の291,978トン、プロピレンが同51.2%増の331,424トンとなっている。
 
 この中では、昨年12月まで皆無であったイランからのエチレンの5月の輸入量が11,0403トンに達して韓国品に次ぐシェアを確保するに至っている点が特に注目される。

 中国へのイラン産のエチレンの流入が始まったのは今年1月から。ただし1月の輸入通関数量は4,980トンで、全輸入量の8.4%を占めるにすぎなかった。その後も2月が5,504トン、3月が4,918トン、4月が3,509トンと小規模にとどまっていた。ところが5月は一気に10,000トンの大台を踏み越え、全輸入量に占める構成比も18.5%へと大きく拡大した。輸入エチレンのトップを占めているは引き続き韓国品で、5月も全体の62.0%に相当する38,115トンを記録して他を圧倒している。その韓国に次ぐポジションはこれまでは日本品が占めてきたが、5月に入ると激減した日本品に替わってイラン品が第2位にランクアップした。わが国の大手商社の多くは、6月も引き続き大量のイラン品が中国市場に流入したと想定している。
 
 ここにきてイラン品が急拡大してきたのは、年産100万トン能力の第9号機と同130万トン能力の第10号機の二つの大型エチレンプラントがイラン国内で相次いで営業運転を開始してエチレン供給力が国内の需要量を大幅に上回る事態になったためと見られている。
 大手商社筋によると、最近のイランはフィリピン、インドネシア、シンガポールといった東南アジアや欧州各国に懸命にエチレンを売り込んでおり、5月から6月にかけてのエチレンの総輸出量は月間6万トンに達した模様。アジア地域全域のエチレン市場でいきなりイランの存在が大きくクローズアップされる事態となってきたわけで、これが今後の同地域の需給バランスとスポット市況にどういった影響を及ぼしていくことになるかが警戒される。