2008年09月02日
使用済みPETボトルのボトル再生が激減
7月は前年比42.5%減、4〜7月計は14.4%減に
【カテゴリー】:環境/安全(原料/樹脂/化成品、実績/統計)
【関連企業・団体】:日本容器包装リサイクル協会

 日本容器包装リサイクル協会の調べによると、国が推進している使用済みPETボトルの再商品化(リサイクル)の手法の一つであるボトルへの7月の再生(ボトルtoボトル)量はわずか61トンとなった。前年同月の実績を42.5%下回っている。4月から7月までの今年度の累計は2,638トンで前年同期を14.4%下回っている。
 
 05年5月には月間再生量が3,587トンを記録して使用済みPETボトルのリサイクルの主役の座を窺うこともあったボトル化手法だが、いまやその存続そのものが危ぶまれる事態となっている。これには、ボトル再生事業者の多くが原料である分別収集ボトルの調達コストの急膨脹によって事業の大幅な縮小を余儀なくされるようになってきたことが大きく影響していると見られる。このままいくと、同ボトルのリサイクル量が市町村の分別収集量や国のリサイクル指定法人である日本容器包装リサイクル協会の引き取り数量を大幅に下回ったまま推移していくことになりかねない。
 
 同協会が7月中に全国の市町村から引き取った分別収集PETボトル(家庭での使用済みPETボトル)の総数量は14,829トンとなった。前年同月の実績を11.8%上回っている。4月からの累計は51,096トンで前年同期比は6.2%増となっている。
 一方、同協会の委託による再商品化量は7月が11,164トンで同13.0%増、4月からの累計が42,190トンで同8.0%増となっている。ともに同協会の引き取り量を大幅に下回っている。しかも、市町村の多くは分別収集したPETボトルの大半を貿易業者に売却して分別収集費用をカバーする政策を継続している。ちなみに7月のPETくずの輸出通関数量は35,512トンで、同協会の引き取り量の2.4倍に達している。4〜7月の累計は125,248トンで、これも同協会の引き取り量の2.5倍となっている。つまりは、容器包装リサイクル法に沿って分別収集されたPETボトルの多くは、法律の狙いとは異なり有効にリサイクルされないままきているということになる。
 
 現在のところは、まだ市中に余剰ボトルが放置される事態とはなっていない。しかし、圧倒的な消化先である中国がいつまでも大量にわが国から使用済みPETボトルを輸入し続ける保障はない。また、現在のリサイクルの主流である繊維化やシート化に依存していくだけで総排出量をカバーしていくには無理がある。このへんを行政府がどのように判断して的確な手を打っていくかが注目される。
 なお、PETボトルの手法別再資源化の7月の実績(左)と4〜7月の累計(右)は以下の通り。かっこ内は前年比。
 ▽繊維化=6,436トン(113.0%)  22,695トン(110.6%)。
 ▽シート化=4,328トン(111.5%)  15,731トン(109.6%)。
 ▽成形品化=270トン(103.8%)  984トン(102.1%)。
 ▽ボトル化=61トン(5.5%)  2,638トン(85.6%)。
 ▽その他=69トン(160.5%)  142トン(98.8%)。
 ▽合計=11,163トン(111.8%)  42,190トン(108.0%)。