| 2008年10月10日 |
| アジア各地でエチレンの減産が拡大 |
| 東南アジアの中には最大25%減のところも |
| 【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品) 【関連企業・団体】:なし |
大手商社やエチレンセンター筋の調べによると、ここにきてアジア諸国の石油化学企業間でエチレンの減産率を拡大する動きが一段と顕著になってきた。 韓国・YNCC、同・SK、台湾・FPC、同・CPC、シンガポール・PCS、タイ・IRPC、インドネシア・チャンドラアスリ、中国・SINOPECグループなどがエチレンの減産強化に踏み切っている。最近の減産率は小さいところで15%、大きいところは25%にも達している模様。東南アジア地域の減産率が特に高いようだ。 これらの国がエチレンの減産に乗り出したのは今年3〜4月からだった。背景は原燃料価格が急騰してきたことにあり、緊急措置としてイランやサウジアラビアから安価なエチレンを輸入して自らのエチレンの生産を抑制するところが多くを占めてきた。しかし最近の減産強化は、ポリオレフィン等の汎用樹脂や化成品の需要が予想を上回るテンポで縮小してきたことによるもの。 商社筋によると中東からのエチレンの持ち込みも9月から明らかに減少しているという。特に中国に顕著に見られる現象で、これにはガソリン需要の縮小でナフサが余剰となってきたのでそれをさばくためにはエチレンの輸入に歯止めをかけざるを得ないという特殊な事情が絡んでいると想定されている。商社の多くは、各国のナフサの調達動向からアジア各国のエチレン生産量は今後も低水準で推移すると予想している。 一方、日本国内でもエチレンの生産は9月に入って一段と縮小した。定修を除いた設備の9月の月間平均稼動率は93.3%で、10年ぶりの低率となっている。しかしアジア各国の稼働率はこれをさらに大きく下回るレベルにある。アジアの需要低迷の深刻さが端的に現れていると言える。これが今後の日本の石化誘導品の需給にも大きく影響してくる心配がある。 |