2008年10月27日
三井化学ポリウレタンがTDIの大幅減産へ
中国の需要の激減に対応、今週末から50%操業に
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学ポリウレタン

 三井化学ポリウレタンは、中国の需要の激減に対処してTDIの生産を大幅に縮小することになった。今週末から、大牟田と鹿島の両工場の設備の稼働率をいずれも50%に引き下げる。今年末まで継続する考え。これだけの大幅減産に踏み切るのは初めてという。

 同社が保有するTDI設備の年間生産能力は、大牟田工場12万トン、鹿島工場11万7,000トンの合計23万7,000トン。世界3大メーカーの一角を占めている。両工場で生産するTDIの圧倒的多数を中国を中心とした海外への輸出でさばいてきた。9月までは、国際需給バランスが均衡していたため安定した輸出を継続でき、また価格もCFRベースでトン4,000ドル台という比較的高値を維持できた。

 しかし、いわゆる“リーマンショック”が表面化してからは中国からの引き合いと注文が激減。10月の契約数量が大幅に縮小するとともに価格も一気に3,000台に急落する事態となった。そこで同社では10月入りとともに稼動率を80%に落として模様を眺めていたが、その後も一向に中国の需要が回復の兆しを見せないためついに50%という未曾有の減産に踏み切ることにしたもの。

 中国の需要が急激に縮小してきた要因について同社では、寝具や家具、マットレスといったウレタン使用製品の対米輸出がばったり止まったことと、中国の需要家の間にTDIの輸入価格値下がりが必至と予想する向きが急速に増えて買い控え機運が一気に広がってきたことを挙げている。

 後者はともかくとして、前者については急速な事態の改善は期待できないというのが同社をはじめとした関係者に共通した見方となっており、このため同社では年内いっぱいは5割操業を継続していくほかないと判断している。大手商社の中には、同社等の減産が続けば遠からず中国の市中在庫が不足することになるので年明けには引き合いがあるていど活発になると見る向きが多い。