2008年11月25日
三菱化学とJSR、ABS樹脂「テクノポリマー」合弁解消
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:JSR、三菱化学
記者会見する伊藤JSR副社長(左)と高下三菱化学常務

 JSRと三菱化学の両社は25日、ABS樹脂の合弁事業会社「テクノポリマー」から三菱化学が撤退し、JSRの完全子会社とすることで基本合意したと発表した。JSRは、09年3月31日付で三菱化学が保有するテクノポリマーの全株式を取得し、同社を全額出資子会社とする。譲渡金額などは未定。
 
 テクノポリマーは1996年7月に両社の合弁(資本金30億円=JSR60%、三菱化学40%)で設立、現在四日市工場にABS樹脂年産25万トンのほかAS、AES樹脂設備をもち、これまで両社のもつ強みを生かしグローバルに事業展開してきた。07年度は売上高536億円、経常利益17億円を計上。
 
 しかし、自動車や家電など需要業界の海外進出本格化に伴い、国内需要は低迷傾向にあった。アジアでは新規メーカーの参入もあり、市場競争は激化している。
 
 こうした中、JSRは同樹脂部門を石化系事業のコア事業の一つと位置づけ、今後も迅速な意思決定と経営資源の最適化を図ることによって、収益改善と企業価値の最大化を目指していくことが最適と判断した。
 
 一方の三菱化学は、化学品事業分野では「高機能化へのシフト」を企業戦略の重要な柱にかかげ、事業の集中と選択を積極的に推進してきた。

【伊藤忠彦・JSR副社長の話】
 テクノポリマーの国内シェアは25%程度で、事業環境が厳しいことは確かだが、完全子会社化することで迅速な意思決定ができるし、技術を含めて集中化できる。今後は車両用分野を中心に樹脂の高機能化、高付加価値化を図っていきたい。機能性フィルムなども将来性は十分あると思う。

【高下悦二郎・三菱化学常務の話】
 旧三菱モンサント化成時代からの古い歴史のある事業だけに、深い感慨はあるが、JSRさんへの譲渡ということで納得がいくように思う。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1227597277.pdf