2008年11月26日
南通市、「蘇通長江大橋」の完成と港の開発で飛躍
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 長江を挟んで上海の北側にある江蘇省の南通市が、今年5月に蘇通長江大橋を完成して南通-上海の所要時間が約1時間となったことから、上海の副都心を目指して発展計画を打ち出した。黄海に面した昌四港—洋口港間には長江第2位の大型港建設も進める。

南通の江蘇沿岸開発は温家宝総理の提案でもあり、上海を中心に南の寧波港と洋口港を翼として長江デルタの一大国際港が出現する。南通(面積8,001平方キロ、人口796万人)は国の国際戦略の中で新しい経済成長のチャンスととらえている。

南通は中国が初めて対外開放した14都市のひとつ。産業は紡績織物からスタートした。07年のGDPは2,111億元、地域都市の26位にランクされている。外資利用額は31.2億ドルで江蘇省第2位。これまでに造船、電子情報、化学繊維、ファインケミカルなどの産業が発展している。

 日系企業は1,045社。新日本製鉄、東芝、日立金属、王子製紙、富士通、東レ、帝人、三菱レイヨン、ポリプラスチックス、DIC、川崎造船などの各メーカーをはじめ三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅などの商社陣が進出している。

  07年11月に年産80万トンの製紙と70万トンのパルプ工場の建設に取りかかった王子の投資総額は27億ドルと外資最大の投資額。日本は南通の最大の貿易相手国で07年は33.6億ドル(全体の26.5%)、うち輸出が22.6億ドル。600人近くが常駐している。

 新規計画としては、洋口港の15平方キロの用地に石油精製1,000万トン、石油化学センター(エチレン年産100万トン)のプロジェクトが検討されている。長江沿岸地域での化学新材料の工業基地で培った経験をもとに大型の化学基地を建設する。

上海—南通間の大橋完成によって、これまでの崇海大橋と今年10月に着工した崇啓大橋(09年に完成)と合わせて3本になるわけで、地続き同様の利便性が確保される。南通は長江と黄海に豊富な海岸線を有している。10万トン級バースが建設できる海岸線は40キロ、1万〜5万トンの長江深水岸壁は12キロに及ぶ。

また、南通は中国の重要なエネルギー基地の一つで電力が確保できる。産業用地は国家クラスの南通経済技術開発区、輸出加工区と12か所の省クラス開発区を持ち、いずれもサービスとインフラを整えている。

労働力資源は大学6校、在学生8万1,000人、職業学校44か所、在学生13万人と豊富。土地資源も多く、干拓地が2,300平方キロと広大だ。
問い合わせは国際貿易促進協会(TEL:03-6740-8271)