2008年12月26日
鹿島北共同発電、2月から石油コークスを採用
ボイラーを改造、コンビナートのコスト競争力強化へ
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:鹿島北共同発電

 三菱化学、鹿島石油、鹿島電解など鹿島東部コンビナート・北グル−プ12社の共同出資によるコンビナート内電力・蒸気供給企業の鹿島北共同発電(株)は、このほど第5号ボイラーの改造工事を完工し、安定供給型の新燃料として注目される石油コークスを使っての試運転を開始した。
 
 今回の工事は、ベネズエラ政府によるオリマルジョン(オリノコタールをエマルジョン化したもの)の供給停止とC重油ならびにアスファルト(減圧残渣油)など燃料の価格不安が続くなかで引き続き電力の長期安定供給責任を果たしていくには安価でしかも量の安定確保も見込める石油コークスの新規採用が不可欠と判断し、稼動ボイラー4基のうちの1基の改造に踏み切っていたもの。しばらく試運転を続けたあと来年2月から営業運転入りする計画。
 
 同社では、残る3基のボイラーのうちの1号基についても同様の改造工事を進めており、来年春には完工の見通し。本格稼動は7月からとなりそう。これらの燃料転換に要する設備投資金額は、石油コークス専用サイロ2基の新設等を合わせて200億円となる見込み。
 改造ボイラー2基に必要な石油コークスは、米国の複数の石油精製企業から輸入する。輸入量は、2基分合計で当面年間50万トンとなる見通し。
 
 今回の2基のボイラーの改造によって、同社は発電に必要な燃料のおよそ半分を石油コークスで賄っていくことになる。ベネズエラ政府の突然の資源・エネルギー政策の変更とその後のC重油等の高騰によってかつてない厳しい局面に立たされてきた鹿島北共同発電だが、今回の燃料転換措置が軌道に乗れば、自らの企業体質の強化を通して鹿島石油化学コンビナート全体の競争力強化に少なからず寄与していけることになろう。