| 2009年02月05日 |
| 中国式市場経済が世界の主流となる気配 |
| IDEC、三井住友銀行が横浜でセミナー |
| 【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:なし |
IDEC(横浜企業経営支援財団)と三井住友銀行は4日、パシフィコ横浜で「これからの中国事業の考え方~激変する投資環境と新たな事業戦略」と題するセミナーを開いた。中国投資進出の支援サービスを行っている華鐘コンサルティング(TEL06-6232-0775)の幹部が講演した。 同社をグループに持つ上海華鐘投資コンサルティングの古林恒雄総経理は「中国は輸出主導の外貨獲得政策の方針転換を行う一方、外資系企業を扱う所得税法上の優遇政策を廃止した。このところ急激に上昇する賃金、増加する労働争議で経営は労務対策の重要性を認めざるを得ない立場に追い込まれている」と経営環境の変化を強調した。 こうした変化について、これまで外貨獲得に貢献してきた加工貿易(08年で全貿易の40%、ほか外資系が50%)が、昨年末の外貨準備高で1兆9,500ドルに達し、このうち1兆ドルは米国債の購入にまわしている。外資企業に対する優遇措置をハイテク産業や中小企業にとどめ、奨励類生産型企業にたいする設備免税輸入だけとした。 また、これまで存在しなかった労働問題が08年から労働契約法、労働契約実施条例、年休条例、労働争議調停仲裁法などの法律制定で労働環境が急激に変化した。現地企業の経営陣だけではついてゆけない状況になっている。 内需拡大のため中国は労働者の賃金をあげている。平均賃金は年率10%も上がっている。業績好調の企業は14-16%増だ。都市労働者の平均賃金は月2,192元、最低賃金も上海市は960元、深せん市(平均賃金は約1万ドル)で1,000元となっている、などをあげている。 賃金は農村でもここ5年で倍増している。国民の所得が減るばかりの日本に比べ着実に変化している。企業だけが豊かになるという経済運営ではなかったのか。中国での企業活動にしても、中国の内需拡大方策に沿った取り組みが求められる。 中国の08年は「改革・開放」の30周年であったが、GDPで68倍、貿易総額で105倍、外貨保有額では1万倍。GDPの成長率は07年13%、08年9%、今年は8%と予想されている。中国は独自のコンプライアンスを重視している。これからコンプライアンスを基本に諸問題を処理するのは間違いない。 たとえばリストラを行うとき、法律に沿わない事項があれば徹底してさばかれる。ここは正面から取り組むほかはない。財政、税務問題でも、必要な会社規則制度を整備して本来あるべき姿で運用する必要がある。 中国は93年に市場経済は資本主義国だけのものではないと、社会主義下でこれを実施したが、金融危機以来の欧米各国の混乱をみると、中国式が世界の主流になる可能性もあるといえるのではないだろうか。 古林氏に続いて同社の楊楽陽・コンサルテング部長が事業再編の対応策などについて講演。 |