2009年02月24日
注目される中国の景気対策、世界が関心 3月5日から全人代 8%成長の中身
【カテゴリー】:海外
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 中国の景気はどのようになるのか。中国は昨年9月のリーマンブラザーズの破綻で始まった世界的な金融危機にさまざまな対応を見せている。10月に過剰投資を抑えてきた総量規制を緩和、また、金融緩和も始めた。
内需拡大を目指す労働賃金の引き上げの手を緩める気配を見せるなど変化がみられる。人件費の高騰によって企業の倒産が増えるのを、防ごうというのである。つまり雇用維持を重視し始めたわけである。

 昨年9月に施行した労働契約法の実施条例によって労働者の賃金が10-15%上昇したといわれてきたが、条例を厳しく守ることで企業経営の持続が難しくなって失業者が増えれば、社会不安につながるとみるのである。
それに昨年初めからの加工貿易奨励廃止の見直しや増値税還付率の引き上げなどの動きがみられる。景気振興策として4兆元(約52億円、具体的な内容は決まっていない)の財政支出も発表された。4兆元といえば中国のGDP30兆元の3.61%の規模である。

 中国政府は今年1月、内需拡大策を打ち出し、環境・エネルギ—、地方振興、グロバル化に重点を置く方針を明らかにした。昨年は農村の改革が強く進められた。農村の生活を豊かにすることによって、消費を拡大する狙いだ。実際には家電を広めるため、購入価格の13%を補助。さらに携帯電話、温水器などに適用することにしている。政府は雇用を守るためにことし年率8%の成長を守る方針。1%で100万人が雇用できるという計算で、8%なら800万人に及ぶ。

 中国では在庫調整が3月で終わり、欧米市場向けの輸出も年後半には回復するとする見方が強い。国内は鉄鉱石、塩ビなどの輸入が増え始め、鉱工業品の生産も増えているとする楽観論がでているのである。一方で全投資額の20%を占める不動産はまだ回復の兆しが見えていない。株価も若干上向きといったところ。自動車は1月から小型車が売れた。レクサス、アキュラなど。高級車はまだ読みにくい。薄型TVは1サイズ落とす傾向がみられる。しかし、普通品より2-3倍高い高級野菜が中間層に売れ、安全志向が高まるという現象がみられる。

 中国の経済は08年のGDPが前年比9%増の30兆670元、社会小売品消費総額が21.6%増の10兆8,488億元、対内直接投資が23.5%増の924億ドル、貿易総額が17.8%増の2兆5,616億ドル、外価準備高が27.3%の1兆9,500億ドルと伸びた。今後は鉄鋼、自動車、繊維、家電など傷んだ産業を産業政策で助ける考えだ。財政、金融力は十分である。今回の金融危機で大きく打撃を受けた欧米各国に比べ、傷が浅いとされる中国の経済運営に望みを託す国々の関心が大きい。

 具体的な方針の出る3月5日からの全人代に世界から熱い視線が注がれている。