2009年03月03日
PETくずの輸出、1月も不振で前年比12.3%減
中国向けが激減で4ヵ月連続の前年同月割れ
【カテゴリー】:環境/安全(原料/樹脂/化成品、実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 市町村が家庭から分別収集した使用済みPETボトルが全体の8割方を占めると見られるPETくずの輸出数量が一段と縮小傾向を強めている。
 
 財務省の1月の輸出統計によると、同月のPETくずの総輸出通関数量は21,437トンで、前年同月の実績を12.3%下回った。これでPETくずの輸出の前年同月割れは昨年10月以降4ヵ月連続となった。前月の実績に対しても24.6%減となっている。
 過去1年の月間最大規模となっている昨年9月の36,223トンに比較すると、40.8%減ということになる。
 
 昨年9月まで拡大一途できたPETくずの輸出に急ブレーキがかかっているわけで、その要因は、香港を含む中国のポリエステル繊維の小規模加工企業の多くがPETくずの購入をいっせいに手控える動きを取り始めた点にある。これまで中国では、米国と日本から安価なPETくずを持ち込んで輸出用のぬいぐるみやカーペットの裏地などに加工する小規模企業が急速に増えてきていた。ところが世界同時不況の発生で米国と欧州からの玩具や寝具・家具といった日用品の引き合いと注文が激減、このため市場には不要となった原料のPETくずの在庫があふれる事態になっているといわれる。
 
 PETくずの総輸出量に占める中国向けの割合は93〜96%となっている。圧倒的多数が香港を含む中国向けで占められているわけだ。その中国向け輸出量の最近のピークは昨年9月の33,749トンであった。それが今年1月は20,021トンのまで縮小している。
 
 今後も中国向けの急回復は期待できないというのが関係者に共通した見方となっている。そこで改めて注目されるのは、容器包装リサイクル法に沿って家庭から分別収集した使用済みPETボトルの多くを中国向け輸出でさばいてきたわが国の市町村がこれからどういった行動を取るかである。余剰となった大量のボトルをいきなり容器包装リサイクル協会に持ち込んでも、即応は困難と見られる。といって、野積みしておくことは防災上あるいは衛生上の問題から許されなくなろう。国と自治体の双方が早急に対応策を煮詰める必要が出てきたと言える。