2009年03月16日
樹脂サッシの高断熱性、東大が実測調査で実証
エアコンの消費電力43.1%の削減も確認される
【カテゴリー】:環境/安全(行政/団体、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 自らのキャンパスの省エネ改修を皮切りに全国の事務系事業所の建物から排出されるCO2の削減のモデル作りを目指す「東大サステイナブルキャンパスプロジェクト室(TSCP室)」が今年1月から2月にかけて樹脂サッシ窓の断熱性能の実測調査を実施してきた結果、樹脂サッシが建物の断熱・省エネルギーに大きく寄与する点を明確に示すデータが多数得られたことがこのほど明らかとなった。

 これは、東大・本郷キャンパス内の本部棟内の総長・理事室フロアーの各室に樹脂サッシによる内窓を設置して、設置前と設置後にどのような温度差が生じるかを測定した結果明らかとなったもの。それによると、樹脂サッシ窓を設置した後は窓を通して入ってくる低温の外気温のかなりの部分が樹脂サッシによって遮断され、その結果暖房のためのエアコンの電力消費量を樹脂サッシ窓の設置前に比べて43.1%削減できることが確認されたという。樹脂サッシ特有の優れた断熱性能によって窓全体の熱貫流率が大幅に縮小され、それがフロア全体の断熱化を大きく促進することになる点が実証された。
 
 また、TSCP室が同フロアーで働く複数の職員に樹脂サッシ窓の設置後の感想を聞いたところ、全員が明確に変化を感じていると回答してきたという。「朝出勤して部屋に入ったとき以前のように寒さを感じることがなくなった」、「エアコンの設定温度を低くしても支障がなく、またエアコンをつける頻度が減り、一日中つけずに済むこともままあるようになった」、「夜になっても室内が寒くならなくなった」、「以前はエアコンをつけても足元が寒かったが、いまは寒い日でも室内が冷えないのでその悩みがなくなった」--といった声が相次いで寄せられたとのこと。省エネに加え、執務・生活環境の改善にも大きく寄与する点がこうした“証言”からも立証されたと言える。
 
 地球環境問題に対する一般市民の関心がこれまで以上に高まっている中だけに、今回の調査結果が今後の住宅・建築物の断熱・省エネにどう生かされていくかが注目される。