2009年05月11日
東セロの21年3月期決算、営業利益が48.7%減に
産業用フィルムの1〜3月期の大幅需要減が響く
【カテゴリー】:人事/決算
【関連企業・団体】:東セロ

 東セロは11日、21年3月期の決算が減収・減益になったと発表した。売上高は630億7,000万円で前期を4.9下回るにとどまったが、営業利益が25億9,100万円で同48.7%減、経常利益が23億2,900万円で同50.6%減、当期純利益が10億8,100万円で同60.8%減と利益がいずれも大幅に縮小した。2期連続の減益で、経常利益は4年前の04年度のレベルに戻ったことになる。
 
 大幅な減益となったのは、シリコーンコートフィルムやTPXフィルムさらにはプロテクトフィルム等の産業用機能性フィルムの需要量が特に今年1〜3月期に大きく落ち込んだため(梶正佳・同社常務)。
 うちシリコーンコートフィルムの場合は、携帯電話、薄型TV、パソコンなど電子情報機器の市場で大幅な在庫調整が実施されたのが響いて主力のセラミックコンデンサー分野をはじめ全ての分野で販売数量と売上高の両方が前期を著しく下回る結果となった。
 またTPXフィルムは、携帯電話、モバイルパソコン、デジタルカメラ、DVDプレイヤーなどの内部回路用フレキシブルプリント基板向けが、さらにプロテクトフィルムは、大型プロジェクションTV向けがともに不振であったため販売数量と売上高の両方が前期を割り込んだ。これら産業用機能性フィルム事業部門の売上高は84億8,500万円で、前期を42.4%下回った。
 一方の包装用フィルム事業部門の売上高は545億8,500万円で前期を5.8%上回ったが、産業用フィルム事業部門の縮小をカバーするまでには至らなかった。
 
 成長分野と位置づけて育成に力を注いできた産業用機能フィルム部門の業績が需要の急速な縮小で大幅な減益となった点は、同社に取っても大きな衝撃といえる。4月と5月は盛り返しつつある(同常務)とのことだが、電子情報機器分野の景気の回復にはかなりの期間が必要との見方が一般的。
 こうした厳しい経営環境の中で同社では、先に増設した2種類のCPPフィルムの設備の早期本格的立ち上げやイージーオープンフィルムならびにバリヤ性フィルムなど同社特有の高付加価値製品の拡販等によって事業基盤を強化していく考え。今期の業績もあるていどの減収・減益が避けられないと見られるが、うち経常利益については20億円を一つの目標にしていきたいという。