2009年05月20日
上海浦東新区が国際金融・港運センター展開を説明
都市機能を高度化、来年5月から万博、区南地域も統合
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:伊藤忠商事、シャープ、ソニー、ダイセル化学、東芝、東レ、富士写真フィルム、富士通、丸紅、三井物産、三菱商事、東洋インキ、資生堂

 上海市浦東新区経済委員会は19日、東京で浦東新区の金融センターを中心とする「本部経済」の発展、国際港運センターの整備など改革開放19年の成果と今後の取り組みを説明した。とくに来年5月ー10月の万博の後、改革開放のフロンテア都市を目指すという。

 席上、胡憲雄・浦東新区外商投資協会会長が投資環境の説明で「本部経済とサービス・アウトソーシングの発展状況および政策施策」を述べた。本部経済とは多国籍企業が中国での活動のため、上海に「地域本部」を設置することで、すでに金融機関数が544社、地域本部が115社を数える。

 改革開放19年で同新区のGDPは08年に3,150億元(前年比11.6%増)、財政収入は302.6億元(同16%増)となった。第3次産業の増加価値は1,700億元GDPに占める割合は55%。貿易輸出入総額は1,449億ドル(同13.2%増)。

 日本からの投資プロジェクトは今年3月末までに2,397件、全体の14%(第2位、契約ベースで51.56億ドル)を占めた。1,000万ドルを超える日本からの投資プロジェクトは110件に及んでいる。

 東芝、日立、ソニー、パナソニック、シャープ、NEC、富士通、オムロン、JVC、 森ビル、サントリー、資生堂、YKK、アサヒビールや三菱、三井、伊藤忠、住友などの商社が進出している。とくに富士フイルム、丸紅、三菱商事、YKK、東レ、小松、日東電工、東洋インキ、ダイセル化学、ルネサス、資生堂の11社は多国籍企業の地域本部として認定されている。新区の地域本部のうち日系は22%を占めている。進出した日系企業の業績は順調だ。

 新区は中国のサービス・アウトソーシングの拠点都市といわれ上海で中核のモデル都市である。上海市の5か所のアウトソーシング専門パークのうち、張江銀行ガード産業パーク、張江バイオ製薬基地、浦東ソフトウェアパークの3か所が新区にある。

 サービス・アウトソーシング企業は技術先端型サービス企業として認定されると税収(所得税15%、通常25%)、資格認定、人材トレーニング(オフショアアウトソーシング人材訓練の一人500元補助)、労働管理(給与総額の8%控除)などの面で優遇される。

 地域本部に対し区は財政補助と奨励、資金管理、出入国管理、人材資源、通関などで支援している。上海市は浦東区の南側に広がる奉献区などを浦東区に統合する方針であり、都市化の政策が広がり、都市型社会の形成の形態にも変化が起きそうだ。

 区としては先端製造業の発展にも引き続き力を入れることにしている。区の産業レイアウトとして、まず、上海市東西貫通の延安路—世紀大道間で金融、コンベンション、情報・文化サービス、近代物流、観光サービスなどの業種が展開される。また機能別に7つの集積区を発展させる。陸家嘴金融貿易,張江ハイテク文化と情報サービス、浦東万博ー花木国際会議、金橋製造サービス、外高橋国際物流、空港物流など。