2009年10月27日
蘭DSM がワインの環境保護対策「クラリスター」 CO2発生を50〜70%削減
【カテゴリー】:新製品/新技術(海外)
【関連企業・団体】:DSM
F・シーベスマDSM会長

 オランダの大手化学メーカー、DSMのF・シーベスマ会長は26日、東京・虎ノ門のホテルオークラで「ワインの安定化で発生するCO2排出発生量を50〜70%削減する“クラリスター”手法を開発、環境保護対策に寄与すると発表した。

 席上には訪日中のJ・Pパルケネンデ首相も参加、「鳩山首相の2020年までのCO2 25%削減案を歓迎する。オランダは30%削減を目指す」と地球環境保護に積極的に取り組む意向を明らかにした。

<既報>
http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=27686

 ワイン製造中に発生する酒石酸カリウム沈殿物は、冷却固定法や電気透析法の工程でつくられる。冷却固定法ではワインを冷却しマイナス4度Cの低温(電力を消費)で保存(約1週間)、結晶の生成を促す。両法とも水の使用量が多い。醸造所の水使用のほか、発電のための水使用があるためだ。

 「クラリスター」は酵母(サッカロマイセス・セレビシェ)から分離した成分(マンノプロテイン)。水やエネルギーを使用しないため、エコロジカル・フットプリントを大幅に低減(50〜70%)できるとしている。水使用量は25〜50%抑制。

 クラリスターの使用はすでにフランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、南アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、アメリカなどの認可を得ている。日本では天然物ではなく、添加物としての認可を受けることになるようだが、近く認可されると期待している。

 マンノプロテインは発酵のプロセスで存在する。フィルターにかけイーストから抽出する。結晶ではなく分子が物理的に集まって結晶核をつくる。投入量は1リットル当たり1,000ミリグラム。人体に影響はない。許可があり次第、輸入して発売する。

 DSMはほかに100%カーボンニュートラルな植物由来ポリマー「エコパックス」、住宅用塗装関連から発生するスモッグを50〜90%除去する「ディカバリー」、ビタミンC、バイオメディカル素材の「バイオネート」、廃棄物が少ない粉体塗装樹脂などを紹介した。問い合わせは、DSM/Tel 03-5419-7304