2009年12月01日
協和発酵バイオ、日本眼科学会に特殊遺伝子疾患とオルニチンの関連報告
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:協和発酵バイオ

 協和発酵バイオ(本社:東京都千代田区、石野修一社長)は1日、食品素材及びサプリメントとして販売しているアミノ酸の一つである「オルニチン」について、遺伝子疾患である脳回転状網脈絡膜萎縮症(gyrate atrophy of choroid and retina、以下GA)の患者が摂取した場合の影響について、11月27日、日本眼科学会に情報提供したと発表した。
 
 オルニチンはシジミなどの食品に広く含まれる天然成分で、アンモニア解毒の主要な代謝成分であり、成長ホルモン分泌促進作用を示すことでも知られ、肝機能サポート作用が期待されている。また、疲労回復や目覚めの良さなどにも有効とされている。

 しかし今回、眼科専門医からオルニチン摂取のGA患者への影響について指摘があったため、同社は学術文献情報や、専門家ヒアリングなどにより同疾患とオルニチンの関連について調査した。

 GAは日本では極めて稀な疾患で、数十万〜百万人に一人と推定されている。オルニチン代謝酵素(オルニチンアミノトランスフェラーゼ)の欠損により高オルニチン血症をともなうことが知られているが、オルニチンの血中濃度が高いこととGAの発症の関係は、解明されていない。

 同社はしかし、血中オルニチン濃度が異常に高いGA患者がオルニチンをサプリメントなどで摂取することは控えたほうがいいと判断し、日本眼科学会にこの情報を提供し、専門の立場からの適切なご対応を要請した。

 オルニチンは2002年厚生労働省から食品として使用が認められ、協和発酵バイオは03年から食品素材、04年からはサプリメントとして販売してきた。
 
<用語の解説>
■オルニチンとは :もともと体の中にある遊離アミノ酸で、シジミやキノコなど多くの食品の成分として古くから食べられてきた。医薬品としても、すでに欧州で20年以上、肝硬変などに伴う症状の治療に使用され、韓国、中国、インドなどでも使用実績がある。サプリメントとしては、日本では協和発酵バイオが発売以来43万人に製品を提供。米国でもサプリメントとして15年以上使用されている。また多くの安全性データ(13週間反復投与試験、急性毒性試験、変異原性試験、染色体異常試験や人での過剰摂取試験)が蓄積されている。

■GAとは :眼科領域の疾患。小児期の夜盲を初発症状とする症例が多く、眼底は赤道部を中心に脳表面の脳回転を思わせる白色から黄白色の特徴的な脈絡網膜萎縮巣を呈し、後極部に向かって進行していきます。強度近視、白内障を高頻度に合併し、40〜50歳代までには高度の視力障害をきたす(文献=臨床眼科) 

・協和発酵バイオ URL: http://www.kyowa-kirin.co.jp/news/2009/20091201_01.html