| 2010年01月22日 |
| 【セミナー・朱教授の講演から】中国の景気回復と日本への影響 (上) |
| 「GNP 目標を達成」高速鉄道、原発、自動車、家電が伸びる |
| 【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:なし |
中国の2009年のGDP(国内総生産)は、対前年比8.7%増の33兆5,353億元となった。8%の成長目標が達成できるかの議論が年初にあったことからみれば大きな成功といえる。政府の景気刺激策や活発な公共投資が経済全体を押し上げる役割を果たしたことになる。 中国のGDPは2010年にも日本を上回り米国に次ぐ世界第2位となる可能性が高い。自動車販売(1,364万台、対前年比47%増)と外貨準備高(2兆3,31億ドル)でもナンバーワンになるなど勢いが目覚しい。一時停滞していた輸出も昨年末から、回復に転じている。 このような発展と今後の課題について、拓殖大学(東京)の朱炎・政経学部教授が今週初めに東京で開催された「中国の景気回復と日本への影響と題するセミナー(日中産学官交流機構主催)で講演したので、以下に要旨をまとめてみた。 ■今後の課題は、不動産と株式市場へのバブルの懸念 朱教授は、金融危機の影響で大幅に減速した経済成長が、中国政府の早期の政策転換と景気対策で回復軌道に乗ったと説明した。政府の景気刺激策として4兆元(57兆円)が支出され、金融緩和(9兆元余)と相まって高く貢献したという。 新たな問題点と懸念として、資産価格の高騰、バブルの懸念、出口戦略(緩和から緊縮、抑制)の遅れをあげている。とくに出口戦略のタイムリーな実施を促している。また、輸出振興策の強化、産業高度化の棚上げ、生産能力の過剰、国有企業の活動の拡大を指摘。 国有企業の資金的な優遇によって、とくに中央企業(130社)は国内外企業の買収、民間企業への出資も強化される一方、中小企業の資金難、経営難が続いている(国進民退)。政府の経済介入が強化され、民営化、市場経済化の政策に逆行している。 過剰な生産能力問題では、地方政府のバックアップによる成長分野への集中投資や中央企業による地方での企業の買収によって能力拡充が進んでいるのにたいし、不況による輸出の減少があって、過剰が顕在化している。 ■鉄鋼・板ガラス・石炭化学など6分野の新規投資を禁止 政府はすでに鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、多結晶シリコン、風力発電設備の6大産業の新規投資を禁止し、自動車、造船、電解アルミの過剰見込みを指摘した。これらの分野では外資企業でも影響を受けている。 鉄鋼の場合、生産の現能力は7.2億トン、需要5.7億トン(08年の生産は5億トン)で、建設中のものは5,800トンに及んでいる。ただ、近代設備への切り替えで廃棄の対象となる中小企業の製品は価格が安いことや、地元で輸送費が低いことなどで需要があり、取扱に苦慮しているようだ。 セメントは生産能力25億トン、需要16億トン、板ガラスは各8.2億トン、5.8億トン、多結晶シリコンは10億トン、6億トン、風力発電は1,400万KWT(11年2,000KWT)、1,000KWT、造船6,600万トン、4,000万トン。 ただ中国政府指導部は安定的成長が達成されるまで、多少の修正があっても刺激策を実施し続ける考えだ。中央経済工作会議は昨年12月に10年も刺激策を継続することに決めた。 |