2010年03月30日
「自動車部品メーカーの対中ビジネス」トヨタ幹部が講演
【カテゴリー】:経営(海外)
【関連企業・団体】:トヨタ自動車

世界1となった中国自動車市場。実は戦国時代の様相を呈している。とくに中国の自動車メーカーの台頭が著しい。奇瑞汽車(設立後9年で累計約200万台販売、10年の目標80万台)、BYD(比亜迪、同5年で累計約80万台販売、同70万台)、吉利汽車(同41万台)などである。09年の中国の乗用車生産は120社、1,038万台だった。

こうした中国の自動車と部品産業の動向をトヨタの東和男・投資有限公司上海分公司主査(プロフェショナル・パートナーとして上海事務所首席代表を務める)が、このほどジェトロ本部(東京)で明らかにした。

なかでも部品メーカーの現状と将来については企業形態、部品別メーカー、売上高ベスト10、世界的シェアの保有製品などを示し、中国民族系メーカーからの部品や設備調達に本腰を入れて対応する必要があるとしている。
日本で生産している自動車部品や設備メーカーは欧米への輸出激減と国内市場の市場低迷によって苦悩している。コスト高体質、海外からの低価格品の流入に対抗できず、中小企業でも海外進出を余儀なくされている。

中国の部品価格は外資メーカーより2—7割安い。トヨタの場合中国は30-50%安い。設備価格は30-50%安くなっている。安価な優良部品や設備は中国国内のみでなく、世界からも調達される。

中国内での低コスト車の開発が進んでいる。トヨタのEFC車、日産の小型世界戦略車「マイクラ」(日本名マーチ、100万円以下)、ホンダの現地ブランド車(70万—80万円)、GMのセイルのモデルチエンジ車(70万—90万円)など。

地元車では東風汽車の軽自動車(30万台体制)、上海汽車のスコダブランド(チェコ車)投入、奇瑞汽車のQQのバリエーション拡大などでの低価格車が登場する。低迷する日本は急拡大している新興国市場にも打って出る必要がある。

中国の新しい動きとしては浙江省の世界シェアを目標にした民営企業の集約化がある。もともと中国で初めて民営企業の形態を取り入れた地域であり、産学官が一体となって取り組んでいる。

同国には温州市がライター、靴下、義烏市が玩具、日用品、永康市が電動工具、海寧市が皮革で集中特化して発展したいきさつがあり、いずれも価格破壊により世界シェアを獲得している。

日系は中国の民族系とコスト面で対等であり、技術・品質面で優位性を確保することが必要。中国の自動車部品メーカーは政府登録が約2,000社、3次メーカーを入れると2,000社に及ぶ。日本は1、2次が約500社、3次を入れて5,000社に過ぎない。

日本は100社規模の集団で集団ブランドを構築、機能分業体制で「日僑型」で行動すべきであろう。中国には向こう10—15年で乗用車500万台の工場建設計画がある。