2010年06月03日
公取委の判断「新日本石油・新日鉱HDの経営統合」
【カテゴリー】:行政/団体(経営)
【関連企業・団体】:新日鉱ホールディングス、新日本石油

公正取引委員会は、09年度のける主要な「企業結合事例」のなかで、新日本石油と新日鉱ホールディングスの持株会社設立による経営統合につては要旨次の通り審査結果を報告している。


■一定の取引分野
当事会社間で競合するのは29品目。このうち競争に及ぼす影響が大きいと考えられるのはガソリン、ニードルコークス、パラキシレン及びナフサの4品目である。

【ガソリン】
・石油元売会社は実態として全国にガソリンを供給できる仕組み・能力を持っている。一方、ガソリンは仕切り価格の決定に当たり、都道府県ごとの小売市況を考慮している。
・08年度におけるガソリンの市場規模は約7兆9,000億円。市場シェアは(1)新日本石油 :約25% (2)A社:約20% (3)B社:約15%(4)C社:15% (5)D社:約10% (6)新日鉱 :約10%(7) E社:約5%などとなっており当事会社の合算シェアは約35%である。
・ガソリンの販売先は90%以上が特約店であり、特約店はSS店を通して一般消費者に販売している。一般消費者は価格を意識して自由にガソリンを購入することができる。
・独禁法上、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断できる。

【ニードルコークス】
・07年度の国内市場規模は約200億円。シェアは新日鉱約35%、新日本石油約20%で、合算すると約55%となり、事業者数は4社から3社に減少する。
・ニードルコークスの大部分は、電気炉製鋼法で用いられる電気炉向けに人造黒鉛電極の原料として使用される。今後世界的に電気炉の需要拡大が予想される一方で、同市場への新規参入は容易ではないことから、中長期的には需給がひっ迫した状態が続くことが予想され、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるおそれがある。
・当事会社から、いずれかのニードルコークス事業を別会社に分離し、保有する議決権を第三者に譲渡するとの問題解決措置の申し出があった。
・このため同措置が確実に履行されれば、競争を制限することとはならないと判断した。

【パラキシレン】
・07年度のパラキシレンのアジア地域の市場規模は約2兆4500億円。両社の合算シェアは・順位は約20%・第1位となる。また日本国内では約40%・第1位となる。
・独禁法上の評価としては、水平型企業結合のセーフハーバー基準に該当することから、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

【ナフサ】
・07年度の国内市場規模は約2兆9800億円。両社の合算シェア・順位は、約30%・第1位となる。
・市場シェアが10%を超える有力な競争事業者が複数存在する。
・ナフサは国内品と海外品に品質格差がなく、ユーザーは自らナフサを海外から輸入することができる。
・以上のような理由から、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。