2010年08月30日
「日本中医学会」発足、王副司長が記念講演「産業発展に努力」
【カテゴリー】:ファインケミカル(海外)
【関連企業・団体】:なし

中国の中医学(主として漢方)を日本の先端医学で研究することを狙いとして、日中が学術的に交流しようとする団体「日本中医学会」が29日に発足し、東京・北区の北とぴあで「現代医療における中医学の役割」と題する記念講演会を開いた。

理事長に就任した酒谷薫・日本大学医学部教授は記者会見で「中医学は世界の伝統医学の中で、もっとも理論体系が整い、長い歴史を持つ医学である。最近は診断技術と科学的分析が進んだ。これにわが国の先端科学技術を生かし、医学と医療に寄与したい」と語った。

記念講演会では中国や日本の第一線の臨床家、研究者が招待講演を行った。とくに王笑頻・中国・国家中医薬管理局国際合作司副司長の「中医学は輝かしい伝統文化を構成する文化財であり、医学科学を特徴づけ、強みを発揮する。役割を政府も重視している」とする指摘が注目された。

開会式では酒谷理事長のあいさつの後、程永華・駐日大使、安達勇・日本中医学協会理事長、渥美和彦・日本統合医療学会理事長、王承徳・中国・国家中医薬管理局台港澳交流合作センター主任が祝辞を述べた。

<記念講演の要旨>

■招待講演「中医学の中国医療における役割」(王笑頻・中国国家医薬管理局国際合作司副司長)
「中国政府は中国の国情に基づき、中医学を主とした伝統医学の国民経済および全社会の発展に重要な役割を果たすとして支持、保護、活用してきた。(2003年の中医薬条令、09年の国務院の国家医療システムの統合など)。今日の中国では中医学を取り巻く医療、保険、教育と、これに関連した文化や産業はすでに総合的なシステムとなっている。国民の健康維持に欠くことのできない重要な役割だ。

近年来、中医学とかかわる国際的な交流と合作も活発になっている。世界各国の政府、国際組織との提携を試み、中医学の統合医療の重要な一部分として、医療保険システムに取り入れるよう促している。

中医学の発展のため管理と監督を強化したり、教育システムの確立(各省に1つの中医学院、在校生30万人以上、外国人の受け入れ、現在5,000人以上在校)、研究では基礎や臨床で16機関設置などを行っている。

中医学の産業としての発展をはかるため輸出に力を入れている。昨年の輸出額は14億ドル(生産の約10%)。世界に広めるため40種ほどの品質管理を整え、70以上の国と協力関係を結ぶ交渉を行っている。WHOに伝統医薬への協力を求めたり、ISOに標準化の促進を要請している。

なお、ほかに特別講演として「糖尿病の中医治療の現況」(高彦彬・首都医科大学中医薬学院副院長、中医薬研究所所長、教授)のほか、「新型インフルインザに対する漢方治療の経験」(加島雅之・熊本赤十字病院)、「認知症に対するはり・きゅうの取り組みについて」(兵頭明・学校法人後藤学園中医学研究所所長)などが行われた。