2010年10月14日
キヤノン・東レ、複写機外装にバイオマスプラスチック部品開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:キヤノン、東レ
バイオマスプラスチックの外装部品

キヤノンと東レの両社は14日、バイオマスプラスチックを使用した複写機・複合機の外装部品の開発に成功したと発表した。

植物由来のバイオマスプラスチックは、CO2の抑制など環境負荷の低減に優れているが、成形加工性や機械強度、強靭性などに技術的難度が高く、特に高度な難燃性が要求される外装部品への採用は困難とされてきた。

だが今回、東レのポリマー構造をナノメートルオーダーで制御する材料設計技術と、キヤノンの大型部品成型用の金型技術によりこれらの材料特性を改良し、バイオマスプラスチックを使用した業界最大の外装部品の開発に成功した。

同部品は、キヤノンのプロダクション向け複合機用のもので、大きさは約640(幅)×440(高さ)ミリ、重さは約1,100グラム。難燃性は世界最高水準のUL規格94の5Vを達成している。

また従来の石油系プラスチックに比べて、製造に関わるCO2排出量の約20%の削減が期待できる。

今回の開発で将来は、オフィス複合機などに使用されている小型の外装部品のほか、プロダクション向け複合機などに使用されている大型外装部品も、バイオマスプラスチックに置き換えることが可能となる。

■バイオマスプラスチック開発におけるキヤノンと東レの協業
キヤノンと東レは、2008年10月、世界最高水準の難燃性をもつ、植物由来成分を25重量%以上含んだバイオマスプラスチックの開発に成功したと発表している。これまでは石油を原料とした従来のプラスチックに比べて難燃性、耐衝撃性、耐熱性、成形性などの面で劣るため、オフィス用複合機に利用できる部分は限られていたが、両社は、新たな材料設計と成形技術により、これらの材料特性を改良した「エコディア」を開発。難燃性でも、オフィス用複合機に適用可能なUL規格を達成した。キヤノンはすでに複合機「imageRUNNER ADVANCE」の5シリーズの外装部品に採用している。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1287023634.pdf