2001年03月15日
PBT、世界の設備能力は2003年にも80万トン超に拡大
欧米の共同投資や国内メーカーの増設など/一時供給過剰に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:BASF、DSM、ウィンテックポリマー、デュポン、バイエル、三菱化学

 PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、昨年から今年にかけて相次いで新増設計画が発表されており、世界の生産能力は2003年にも80万トンを超える見通しだ。
 現在、世界のPBT生産能力は60万トン強で、このうち欧米が45万トン弱を占め、残り18~20万トンがアジア地域、そのうち日本は9万トンの能力がある。
 PBTは、PET(ポリエチレンテレフタレート)の釜を転用したバッチ式設備が多く、繊維メーカーがPBT事業を行っているケースも多いが、昨年以降相次いで打ち出されている新増設計画では、連続重合プロセスによる大型設備が採用されている。
 PBTは、IT関連を中心に需要が急速に拡大しているが、一方で競争は激しさを増しており、コスト競争力が重要となっている。このため今後は、生産効率が高く、大量生産に向いた連続重合プロセスが主流となる見通しだ。ただし、採算を考えると設備は最低でも5万トン以上の規模が必要で、単独では設備投資や販売の負担が大きくなることから、多くが共同投資計画となっている。
 欧米勢の計画では、バイエルとデュポン(欧州で2003年めどに8万トン新設)、DSMとティコナ(欧州で2003年めどに4~5万トン新設)などがある。また日本では、ウィンテックポリマーが2002年初頭に松山でスクラップアンドビルド(S&B)により5万トンを新設するほか、三菱化学も2002年をめどに四日市にS&Bで6万トン設備を建設する。これらの計画が全て完成すれば2003年までに19万6,000~20万6,000トン増加、80万トンを大きく超える計算になる。
 これ以外にも台湾、韓国勢の計画、また、近く方針を決定すると見られているBASFのアジア新設計画などがあり、さらに供給能力は拡大する見通し。このため業界関係者からは、「2003年前後の数年間は供給過剰から競争が一層激しくなり、採算性の低いメーカーから厳しい状況に追い込まれることになる」と予想する声も聞かれる。