2011年01月01日
プラスチック工業連盟・米倉会長「引き続き低炭素社会実現に努力」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:住友化学、日本プラスチック工業連盟
米倉弘昌会長

日本プラスチック工業連盟の米倉弘昌会長(住友化学会長・日本経団連会長)は、2011年を迎えて挨拶し、その中で「低炭素社会の実現はいまや人類共通の課題だ」と前置きしたあと「プラスチック産業はそのためにも重要な役割を担っている」と強調した。

また、プラスチックならではの特性を生かして、進化を続ける顧客のニーズに応え、日本産業界の競争力強化と持続的発展に貢献していかなければならない」と説いた。とくに「ハイブリッドカー、電気自動車、ICT機器など日本が世界をリードしている分野で革新的なプラスチック製品を開発・提供していくことで、新たな成長のチャンスが生れてくるはずだ」と期待を込めた。


【年頭挨拶】日本プラスチック工業連盟 会長・米倉 弘昌

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 わが国の経済は、新興国市場の堅調な需要や政府の経済対策の効果に支えられ、ゆるやかな回復を続けているものの、長引くデフレ、急激な円高の進行、高止まりする失業率など、依然として厳しい問題に直面しており、いまだ自律的な成長を見せるには至っておりません。わが国のプラスチック産業の業績も、一昨年の後半以来、一進一退を繰り返しており、本格的な成長軌道への回帰に向けて各社の懸命の努力が続けられております。

昨年の12月、メキシコのカンクンで温暖化対策を話し合う国連の会議COP16が開催されました。
最大のテーマであった「ポスト京都議定書」の国際枠組みの構築については、来年末に南アフリカで開催されるCOP17に持ち越されることとなりましたが、一方で、気候変動がもたらす災害対策などで途上国を支援する「グリーン気候基金」を設立するとともに、COP15の「コペンハーゲン合意」を踏まえて途上国と先進国が自主的に提出した温室効果ガス(GHG)排出削減目標に基づいて行動していくことで合意に至りました。

低炭素社会の実現は今や人類共通の課題であり、国際社会全体で取り組んでいかなければなりません。多種多様な有用な製品を、最終消費者だけでなく幅広く産業向けにも提供することで、経済・社会の発展に寄与してきたプラスチック産業は、低炭素社会を構築していく上でも大変重要な役割を担っております。

欧州のプラスチック工業団体「プラスチックヨーロッパ」が、昨年、GHGの排出削減にヨーロッパのプラスチック製品がどのような貢献をしているかについて定量的な解析を行ないました。断熱材や軽量材などの用途でプラスチック製品が使用されることによるCO2削減量とプラスチック製品の生産に起因するCO2排出量を推計・比較したところ、2007年時点で削減量が排出量の5倍から9倍相当となっており、2020年には、9倍から15倍に達すると見込まれることが明らかになりました。

わが国のプラスチック産業界といたしましても、新たな製品や用途の開発を通じて、こうしたプラスチック製品のGHG排出削減能力を最大限に引き出し、低炭素社会の構築に貢献していかなければなりません。加えて、引き続き、プラスチックならではの特性を生かして、進化を続ける顧客のニーズに的確に応えていくことによって、プラスチック産業はもとより、日本の産業界全体の競争力の強化と持続的な成長の実現を追求していかなければなりません。

とりわけ、ハイブリッドカー、電気自動車、ICT機器など、日本が世界をリードしている分野において、ユーザーとの連携を一層強化しながら革新的なプラスチック製品を開発・提供していくことで、新たな成長のチャンスが生まれてくるものと期待されます。

本年も、日本プラスチック工業連盟として、わが国のプラスチック産業のさらなる発展に向け、様々な取組みを積極的に進めてまいる所存でございます。引き続き皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
最後に、皆様方のますますのご繁栄とご健勝を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。