2011年02月21日
新日鐵化学と九州工大「色素増感太陽電池」の耐久性向上に成功
独自のセル構造、電解液漏洩のない「高耐久性・低価格」めざす
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:新日鐵化学

新日鐵化学と九州工業大学院の早瀬修二教授(生命体工学研究科)は21日、次世代の太陽光発電「色素増感太陽電池」について、独自の円筒型セル構造の開発により耐久性向上に成功したと発表した。

円筒型受光面に対し封止面積が少ないセル構造を開発した。これにより約70日間(1700時間)にわたり発電効率が低下していないことを確認した。

引き続き耐久性を評価中だが、電解液漏洩の少ない構造にすることで、“高耐久性・低価格”の色素増感太陽電池の実現が期待できるとしている。

従来の平板型色素増感太陽電池は、2枚の平面状ガラス板の間に接着剤で壁を設け電解液を封入しているが、今回開  発した太陽電池のセルは円筒型のガラス管構造となっており、ガラス管の端面を封止すればよく、電解液封止部分の面積が小さくなる分封止性が向上する。

また、受光面を円筒型にすることで、光入射角の影響をほとんど受けなくなった。円筒管受光面で入射光が屈折して光が円筒形内部に集まり、発電量の低下は認められなかった。

この成果は、科学技術振興機構(JST)の 産学イノベーション加速事業の一つである「有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発」(プログラムオフィサー:谷口彬雄 国立大学法人 信州大学 名誉教授・特任教授)における研究課題「フレキシブル浮遊電極をコア技術とする新太陽電池分野の創成」(プロジェクトマネージャー:早瀬修二教授)の一環として得られた。

なお同セルは、2011年3月2日〜4日、東京ビッグサイトで開催される「PV EXPO 2011」の新日鐵化学ブースに展示する。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1298255105.pdf