2011年08月19日
旭化成ファーマの「ファスジル」訴訟、スイス社に第一審勝訴
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ファーマ

旭化成は19日、子会社の旭化成ファーマ(本社:東京都千代田区、浅野敏雄社長)が、Rho―kinase阻害剤である「ファスジル」開発をめぐり、スイスの製薬会社、Actelion社を相手取って米国で起こしていた損害賠償請求訴訟で訴えが認められ、このほど被告側に総額516.6百万米ドル(約400億円)の支払いを命じる第一審判決が下されたと発表した。

両社間の経緯はやや複雑で、旭化成ファーマが当初(2006年)「ファスジル」の開発・販売権を供与するライセンス契約を締結した相手企業は医薬品メーカーのCoTherix社だった。

だがその後(2007年)、Actelion社がCoTherix社を買収し、それ以降「ファスジル」の開発・販売を中止したままとなった。このため旭化成ファーマは2008年11月、Actelion社およびその関連会社・役員に対して、被告らが不法に開発を止めさせたとして損害賠償を求める訴えを米国カリフォルニア州サンマテオ郡地方裁判所に提起した。

また、CoTherix社に対しては、別にライセンス契約違反の訴えを起こしていたが、2009年国際商工会議所(ICC)の仲裁を両社が受け入れ、旭化成ファーマはすでに裁定額である約91百万米ドル(約7億円)の支払いを受け取っている。

<既報>
2009年12月24日
旭化成ファーマ 米CoTherix社の契約違反に裁定、賠償金91百万ドル
http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/28090




【Actelion社の概要】
1997年に設立されたスイス国バーゼル市に本社を置く製薬企業で、2010年度連結売上高1,929百万スイスフラン。主力製品は、肺高血圧治療薬の「トラクリア」。

<用語の解説>
■Rho―kinase :細胞内情報伝達に関与するリン酸化酵素で、血管平滑筋の収縮・弛緩をコントロールする生体機能分子。血管平滑筋に存在するRho―kinaseが異常に活性化されると、血管平滑筋の収縮が克進され、その結果生じる血流障害により組織の機能異常が起こる。Rho―kinase阻害剤である「ファスジル」は、血管平滑筋の収縮を抑制するとともに、付随しておこる組織障害を効果的に改善することができる。


ニュースリリース参照
スイスActelion社との訴訟における第一審判決について
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1313731307.pdf

(英文)
Judgment of the court of first instance in litigation with Actelion Ltd. of Switzerland
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1313736853.doc