2011年08月22日
台湾4企業が福建省に石油精製・石油化学基地を建設へ
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:SINOPEC

台湾の石油化学4社は8月17日、シノペックと組み、福建省の古雷半島で石油精製・石油化学基地を建設すると発表した。

参加するのは、台湾聚合化学品(USIファーイースト)、李長栄化学、中国石油化学工業開発(中石化)、和桐化学の4社で、この計画を主導する台湾区石油化学工業同業公会の陳武雄理事長(和桐の創業者)が代表団を率いて北京市を訪問し、シノペック及び福建省政府との間で一貫生産拠点の建設に向けた枠組み協議に調印した。

4社は台商古雷石化を設立し、福建煉油化工(シノペックと福建省政府のJV)との折半出資で事業を行う。

投資額は45億米ドルとされる。

台湾紙によると、計画では石油精製(年産1600万トン)とナフサ分解(エチレン120万トン)をJVで行い、誘導品は下記が検討されている。
  台湾聚合:EVA 20万トン、PE 49万トン
  李長栄:合成ゴム 14万トン、PP 63万トン
  和桐:n-パラフィン 17万トン、LAB 20万トン
台湾の他のメーカーも参加する見込み。

年末にも始動し、3年内に稼働にこぎ着けたいとしているが、問題は台湾政府の認可が得られるかどうかである。
台湾政府は、「投資が認められるのは石油精製と川中~川下のみ」とし、エチレンについては認めていない。


本計画は2009年に既に明らかになっていた。
当時は福建省泉州市泉港区の泉港石化工業区で検討しており、和桐化学、大連化学、李長栄、長春人造樹脂、國喬石油化学、台湾合成ゴムの6社が参加するとしていた。
  既報  http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/26710

この計画の背景の一つに、台湾での今後のエチレン不足問題がある。

台湾国営の中国石油は高雄に日産 270千バレルの製油所と50万トンのエチレンコンプレックスを持つが、住民からの公害問題での苦情を受け、2015年までに閉鎖することが決まっている。

このため、中国石油は、2006年1月に、同社43%出資で誘導品各社との合弁会社の國光石化科技を設立し、雲林に日産30万バレルの製油所とエチレン120万トンを建設することを決めたが、土地買収に失敗した。
その後、彰化県大城濱海区での計画を進めていたが、 環境アセスメントをめぐり、地元住民との対立が続いた。
馬英九総統は本年4月にこの計画を支持しない方針を正式に表明、台湾での建設は不可能となっている。