2011年10月25日
「ものづくり白書」、企業再編による事業強化促す
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省、厚生労働省、文部科学省

経産省は25日、「平成22年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を発表した。厚労省、文科省との3省共同作成で、同日閣議決定した。

白書は第1部「ものづくり基盤技術の現状と課題」、第2部「平成22年度に講じた施策」の2部からなり、第1部は「内外経済が変化する中でのわが国製造業の動向」、「わが国ものづくり産業が直面する課題と展望」など4章で構成。

この中で「企業の再編による事業強化」の必要性を説き、「激化するグローバル競争に打ち勝つために、獲得マーケットを戦略的に狙うとともに、企業同士の連携を通じて一定の規模を確保することは有効である」と強調した。

次に化学業界での具体的な再編事例として、2010年の出光興産と三井化学による有限責任事業組合「千葉ケミカル製造」の誕生や、2011年2月の旭化成と三菱ケミカルホールディングスによる「西日本エチレン有限責任事業組合」の発足を挙げ“最適な生産体制・効率的な事業運営の実現を目指している”と紹介した。

また、「日本ブランドの重要性」を指摘。「わが国製造業は高品質・高性能なハード面を中心にブランド効果によって一定の価格プレミアムを得てきた」とする一方、今後の課題として「デザイン・スタイル、日本独自の文化性といったソフト面も重要だ」とし、“潜在力を有する伝産品など、文化に根ざしたものづくりについても世界市場獲得につなげることが重要である”と、ソフト面の強化を促した。

「今後の取り組み」では、次世代産業における技術優位性の確保と、新興国市場の獲得が重要な柱と位置づけている。
次世代産業については、「産業ごとに普及戦略が異なり、ハイブリッド自動車では低価格化・コストダウンが特に求められている」との調査結果を紹介している。

新興国市場の獲得に向けた取り組みでは、「急伸する市場で日本は中国、韓国、台湾企業と競合している」と指摘、「ターゲットとして富裕層を最重要顧客としている企業が多いほか、将来的な富裕層化が期待される中間層も重視する傾向にある。ニーズをとらえた製品戦略を最重視している企業のほうが価格戦略を重視している企業よりも相対的に好業績である」と、現地ニーズをとらえた事業戦略の重要性をポイントに挙げた。