2001年01月29日
新日鐵化学、有機ELディスプレイ材料事業展開を加速
来年度中にも設備増設に結論、人員も順次拡充へ
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:出光興産、新日鐵化学、東洋インキ

 新日鐵化学は、有機EL事業の展開を加速させるため、来年度中にも製造設備の増強規模、仕様などについて早急に決定する方針だ。
 同社では有機EL事業を機能化学品のコア事業の一つと位置付け、1月15日付で「有機EL事業推進室」を設置、現在は15名体制でスタートし、順次拡充を行っている。
 有機EL素子とは、LCD(液晶ディスプレイ)に続く次世代材料として注目を集めている技術で、バックライトの光により画像を表示するLCDに対し、有機EL素子は、自己発光型の素子である点が大きく異なっている。また、液晶素子に比べて視野角度が広く、コントラストも良く、視野性にも優れているとされており、バックライトが不要なことから薄型化、軽量化が可能とされ、消費電力も低く駆動できる。固体であることから振動に強く使用温度範囲も広い。
 同社では、長年蓄積してきたタール由来の芳香族、複素環式芳香族化合物の誘導化技術や金属錯体関連技術をベールとして、有機ELディスプレイ用の高純度、高品位の材料を持ち、量産化や品質安定化に関する独自技術を持っている。実績としても、有機ELディスプレイの開発をしている国内40~50社に開発用材料として供給しており、製品としても、既にカーステレオのディスプレイに採用されている。
 有機ELディスプレイ材料の市場規模は2005年には年間150~200億円規模への拡大が見込まれており、同社ではシェア50%の確保を目標に事業展開を加速する考え。
 現在の供給体制は、北九州戸畑地区に数10キロ~数100キロ単位の量産化体制としているものの、こうした需要の急速な拡大が見込めることもあり、早急に生産規模の拡大を図る方針。
 なお、有機ELディスプレイ材料は出光興産、東洋インキも製造を行っており、今後、次世代ディスプレイ向け材料として競争の激化も予想されている。