2001年01月15日
三菱レイヨン、プラスチゾル用「アクリルパウダー」事業拡大へ
世界初、PVC代替分野に本格展開
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:トヨタ自動車、三菱レイヨン

 アクリル樹脂、モノマーの大手メーカーである三菱レイヨンは15日、機能性コポリマー事業の一環としてプラスチゾル用新素材「アクリルパウダー」の展開を拡大すると発表した。プラスチゾルは現在、PVC(塩化ビニル樹脂)系のものが主流だが、性能面では同等以上なので、建築内壁材(壁紙)、軟質シート類、各種成形材料など幅広い分野にわたって需要を拡大していきたいとしている。
「プラスチゾル」というのは高分子ポリマー(パウダー)を希釈材で適正粘度に調整し、フィラーなどを添加した流動性のある配合物のことで、とくに厚膜塗装に適している。
 同社は約10年前からアクリル系ゾル材の基礎研究に着手し、独自のモノマー、ポリマー化技術をベースに世界で初めて開発に成功した。
 この間トヨタ自動車の協力で自動車用アンダーコート塗装、ボディシーラー用途を開発、また現在PVCゾル材が原料となっているタイルカーペット用パッキング材でも独自のアクリル系製品を開発、子会社三菱バーリントン社のカーペット製造工程で従来の工程を変えずにアクリル系素材を利用する計画を進めているという。
 アクリルパウダーは、PVC系の課題とされる低温成膜性、耐熱性、耐候性などにすぐれている。それだけでなく同社は自動車用分野では、関連メーカーと薄膜塗装技術の研究に取り組んできた。このためコスト競争力も向上した。
 プラスチゾルの需要は現在PVC系を中心に年間約14万トンとみられている。しかし最近は一部でPVC以外の素材に対する要求が高まっている。
 同社の供給能力は現在年間1,000トンだが、事業として将来性が高いため2003年度には5,000トン、2005年には10,000トンを目標に拡大したいとしている。