| 2001年01月01日 |
| 【年頭所感】求められる競争力強化・業界再編 ・通商産業省基礎産業局長 岡本巌 |
| 【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:経済産業省 |
平成13年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。 我が国経済は、金融部門や消費部門の改善が遅れるなど、厳しい状況をなお脱しておりませんが、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、全体としては、緩やかな改善が続いております。政府といたしましても、経済を自立的な回復軌道に乗せるため引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を21世紀にふさわしい構造に改革してまいる所存です。 21世紀を迎え、基礎素材産業は、引き続き我が国経済を支える基幹産業として力強い発展を遂げるものと確信しておりますが、同時に取り組むべき課題が、依然、多く残されているものと考えております。課題の多くは、産業に携わる皆様方の努力に待つところ大でありますが、行政の立場からも、皆様方の取り組みを円滑化し、或いは促進するとの見地から、以下の諸点について重点的に取り組んでまいる所存であります。 一.競争力強化・業界再編 我が国産業の生産性を高め、その競争力を強化することは、少子高齢化が進む21世紀前半において我が国経済の持続的成長を確保する上で極めて重要な戦略的課題であります。基礎素材産業においても、経営資源の「選択と集中」の理念に即して、個々の企業内で或いは提携・合併を伴いつつ事業再構築が進められております。しかしながら、海外の競争企業が国境を越える大規模な提携・合併を急速に進め、また自動車を始めとする需要業界の世界大での再編集約化とグローバル調達が急展開する中にあって、我が国基礎素材産業は、よりドラスティックな競争力の強化を求められております。そのために、要すれば、更なる事業統合や合併を通じて、より大きな懐の中での事業の効率化、最適生産規模の達成及びR&Dを含むリスク投資の実行が期待されております。政府は、一昨年の産業活力再生特別措置法の制定に続き、会社分割法制・税制の整備等に努め、企業の事業再構築を支援してきているところであります。今後とも、連結納税制度の導入、企業年金制度改革等、残された課題の解決に向けて全力を挙げてまいる所存です。 二.技術開発 21世紀の日本がその経済的地位を維持するためには、産業技術力のさらなる向上が欠かせないものと認識しております。特に、素材関連の技術で注目すべきものとして、バイオテクノロジーと材料ナノテクノロジーが挙げられます。 バイオテクノロジーについては、昨年6月、ヒトの全遺伝子配列の概要が発表されたことで新たな段階を迎え、研究開発及び産業化の両面で国際競争が激化しております。政府は、バイオテクノロジーの速やかな産業化を目指して、一昨年来、産学官の緊密な連携の下、ゲノム解析やタンパク質の機能解析を始めとするミレニアム・プロジェクトを推進しているところであります。加えて本年からは、従来の工業プロセスをより環境負荷の少ないバイオプロセスに置き換える技術の開発予算を計上するなど拡充を図っていくこととしております。さらに昨年から関係省庁と共同して、遺伝子解析研究に関する倫理指針を作成する等、研究開発環境の整備も進めております。これらの施策を含め、バイオ産業が飛躍的に発展するための施策を引き続き強力に進めてまいる所存です。 材料ナノテクノロジーは、今後の社会経済の発展を先導するIT、バイオ等の広範な産業分野における技術革新をリードする基盤技術であり、また、我が国が世界の中でこれまで優位にある技術分野です。政府は、次期科学技術基本計画において、材料技術をIT、バイオ、環境技術と並んで最重要分野の一つと位置付けることとしており、産学官の力を結集して、材料ナノテクノロジーの研究開発を強力に推進してまいる所存です。 三.環境対策 地球環境問題、就中温暖化問題は、エネルギー多消費型産業の基礎素材産業にとって、その経済活動を大きく左右しかねない重要な問題です。本年再開が目指されているCOP6では、昨年11月の交渉の進展を基に、京都議定書を批准可能なものとなるよう、交渉を進めてまいる所存です。国内的にも、経済や国民生活を過度に制約することなく地球温暖化問題を解決できるよう、実効性、効率性の高い対策のあり方を検討してまいります。また、オゾン層保護対策としては、モントリオール議定書に基づきHCFC等の円滑な全廃に向けての施策を促進するとともに、本年にはCFCに対する総合的な施策をとりまとめたCFC管理戦略を策定いたします。 さらに、本年は化学物質の管理に関する新しい制度が導入される年でもあります。化学物質管理促進法に基づきMSDS(化学物質等安全データシート)制度が本年1月から、PRTR(特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置)制度が本年4月から実施され、事業者による化学物質の自主的な管理の改善が図られることとなっております。産業界におかれては、これまでも環境保全対策に積極的に取り組まれてきたところでありますが、化学物質による環境汚染に対する関心が高まっている折、本法の施行を機に、より一層の企業努力を期待する次第であります。 四.通商問題 近年、米国をはじめとする各国で、日本からの各種輸入鉄鋼製品に対するアンチダンピング措置が増加しております。これに対して、WTOルールに照らして整合的でないものについては、WTOの紛争処理手続きに従って提訴等の措置をとっているほか、マルチ及び二国間の協議などのあらゆる場を通じて問題の解決に努めているところであります。政府としては引き続きこうした取組みを強力に推進していくとともに、FTAをはじめとする二国間あるいは地域間の取組についても重層的に進め、公正かつ自由な貿易環境の維持・発展を図ってまいります。 五.アルコール専売制度の民営化 工業用アルコールについては本年4月、アルコール事業法が施行され、専売制度が廃止されます。政府としては市場原理に基づいたアルコール市場が創出されるよう、適切な法施行に努めてまいる所存です。 六.最後に 本年1月6日に通商産業省は経済産業省に変わります。これに伴って、現在の基礎産業局と機械情報産業局及び生活産業局の一部が合流し、製造産業局として改組されます。 私共は、従来も各産業と行政の接点として、各産業のニーズの政策への反映に努めてきたところですが、製造産業局になっても、このスタンスに変化はありません。むしろ産業との接点を拡げ、より幅広い観点から製造業の実態に基づいた施策を引き続き強力に推進していく所存です。 最後になりましたが、本年が皆様にとりまして一層の御発展、御活躍の年となることを祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。 平成13年元旦 基礎産業局長 岡本 巖 |