2001年01月01日
【年頭所感】21世紀、世界の繊維産業のリード役として ・日本化学繊維協会会長 山本一元
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:なし

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 旧年中は当会の活動に多大なご協力をいただき、関係各位に厚く御礼申し上げます。
 昨年は長期低迷していたわが国経済にもようやく回復の兆しがみられ、全体として企業収益も改善に向かいつつあります。しかし、雇用状況は依然として厳しく、個人消費の回復が遅れています。経済の先行きについても原油価格の動向、米国経済の減速の影響が懸念材料であり、力強い回復はあまり期待できないのではないかと考える次第であります。
 繊維業界に目を転じますと、一般経済の影響に加えて、急増やまない繊維製品輸入が大きな圧迫材料となっています。一昨年の繊維全体の輸入浸透率が60%を超える水準でありましたが、昨年は製品輸入数量が20%強の勢いで伸びていることから、おそらくこの水準はさらに上昇し、繊維産業にとってまさに危機的な状況に立ち至った年といえましょう。
 こうした輸入圧力の強まりに対して化合繊業界でも今まで以上に輸入問題を業界の大きな構造問題としてとらえてまいりました。昨年は通商委員会を中心に業界上げて、(1)特恵制度のあり方、(2)加工再輸入減税制度の運用改善、(3)アンチダンピング、TSG発動のための検討、そして(4)国際競争力を強化するための高コスト構造是正のための提言、さらには(5)繊維産業の存在意義の再評価を通じての活力ある産業構造への提言など、あらゆる可能性を求めての取り組みを行ってきました。
 それと並行して4月に立ち上がった繊維産業貿易タスクフォースの官民共通の場において産業の実態はもとより、繊維政策の方向についての真摯な議論が取り交わされました。これを受けて繊産審の繊維政策基本問題小委員会や自民党の輸入対策プロジェクトや与党繊維対策プロジェクトチームなどの場を通じ、広く繊維輸入問題への対応について近年にない活発な議論が行われました。もはや繊維製品の輸入問題は、議論や共通認識の醸成の段階から早急に具体的なアクションにつながる措置を取らなければならない時期を迎えているとの認識を強めております。
 さて、2001年、21世紀がはじまりました。わが繊維業界にとっては、輸入問題に対する具体的なアクションプログラムの構築をはじめ、IT革命への取り組み、リサイクルを含めた環境問題への対応、優れた繊維加工技術の深化と発展、さらに次世代への承継とそのための人材育成など多くの問題、課題を抱えての新しい世紀への出発であります。
 協会テーマの一つとして、「国際市場構造の変化への対応」をかかげましたが、とくにアジアの動向、なかでも中国の繊維産業の動向は、世界の繊維需給を左右する大きな影響力をもっているだけに注視する必要があります。中国はWTO加盟に向けて秒読み段階に入り、今年からはじまる「第十次五カ年計画」ともあわせてきわめて重要な節目を迎えています。当会では昨年11月に訪中調査団を派遣して、五年先、十年先を見据えた中国繊維産業の展望について調査しました。中国は競争原理を導入しながら構造調整を進めつつ、競争力を高め、巨大な国内市場を擁しながらも世界の繊維供給地としての基盤をさらに高めて世界に挑戦してくるとみております。
 そうした挑戦に日本を含めたアジア諸国がどのように対応し、「競争と協調」が出来るかが、21世紀に生き残る繊維産業の課題であろうと認識しています。
 日本の繊維産業が21世紀の世界の繊維産業のリード役として、時代の要請に応え得る創造的な道を開拓することで活力を取り戻すべく、関連業界も含めて力を合い携えて新しい年に臨みたいと念じております。関係各位の益々のご活躍を心からお祈り申し上げます。
以上