2012年11月20日
日化協など産業9団体が提言「エネルギー戦略見直しを」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学工業協会、石油連盟

日化協、石油連盟など主要産業9団体は20日、先に政府が決定した「革新的エネルギー・環境戦略」は、省エネなどに“非現実的な前提”が置かれ、矛盾が多く、その結果、いずれのシナリオの場合でも電気料金が大幅上昇し、わが国の経済や国民生活に極めて大きな影響を及ぼすとして、同エネルギー・環境戦略の見直しを求める提言を「共同宣言」として発表した。

この中で、今月26日からドーハで開催される「COP18」では、2009年に当時の鳩山由紀夫首相が国連で表明した、温室効果ガス排出量の「1990年比25%削減」について、わが国の厳しいエネルギー事情を説明し修正に理解を得るよう最大限の努力をすべきだとした。

また「すべての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築」に向けて、まず、枠組み構築に消極的な途上国に対して参加を促す具体的施策の立案・実践が重要だとの点を強調した。

<共同宣言の骨子>

(1)「革新的エネルギー・環境戦略」の見直し
本年9月、政府が発表した「革新的エネルギー・環境戦略」は、省エネ、再生可能エネルギーの導入、CO2削減の考え方などに非現実的な前提が置かれ、いずれのシナリオも電気料金が大幅上昇し、GDPが下げられ、雇用も減少するなど、我が国の経済、雇用、国民生活に極めて影響が大きい。経済と環境の両立を図る戦略にほど遠い。
さらに、政府が2013年以降の「地球温暖化対策の計画」を本年末までに策定するとの意向を示したことは理解できない。まず「革新的エネルギー・環境戦略」を見直し、「エネルギー基本計画」を策定し、その上でエネルギー問題と表裏一体関係にある「地球温暖化対策の計画」を策定すべきだ。

(2)COP18における我が国中期目標の扱い
我が国の現行中期目標(90年比25%削減)は、極めて非現実的かつ国際的に突出した不公平な削減目標である。
COP18では、我が国が現在置かれている厳しいエネルギー状況を説明し、諸外国の理解を得るべく最大限の努力をしてほしい。

(3)「全ての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築」と産業界
COP18では「全ての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築」に向けて、まず新たな枠組みの構築に消極的な途上国に対して参加を促がす具体的施策の立案・実践が重要だ。産業界では現在、政府が推進している二国間オフセット・メカニズムについて、将来的に技術移転の仕組みの構築と、実効性のある地球温暖化対策の同時達成、つまり経済と環境の両立に資するものと期待している。

(注)共同宣言参加9団体 :石油連盟、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟。