2000年12月19日
帝人/東レ/NEC、繊維業界向けEC事業を共同展開
来春スタート、今後繊維業界各社に参加を呼びかけ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:NEC、帝人、東レ

 帝人、東レ、日本電気の3社は19日記者会見し、繊維業界においてインターネットを活用したEC(Eコマース)を推進するため、共同出資によるシステム開発会社「エイトピア」を来年1月に設立する、と発表した。同時にエイトピアの出資により、EC第一弾として「ファイバーフロンティア(FF)」を設立、来年5月から事業を開始する。今回の計画では、業界のデファクトスタンダードを目指しており、今後繊維業界各社に参加を呼びかけていく考え。
 エイトピアは、帝人と東レが各41.7%、NECが16.7%出資、資本金4億8,000万円で設立、来年5月から営業を開始する。代表取締役社長には東レの中川秀勝EC推進室長が就任する予定。社員数は10名程度を見込んでおり、同時に設立するFF社をはじめ今後設立する予定のEC事業運営会社が支払うシステム利用料を収入源とする。同社が開発するのは、個別商取引が可能なOne-to-One機能に加え、参加各社が共同で利用できる機能を持つECシステムで、EC事業運営会社の持株会社として活動する。また、システムの運営はNECの展開しているBIGLOBEを利用する。
 また第一弾となるFF社は、エイトピアが出資する2億円プラス利用会員の出資金を資本金とし、同じく5月から営業を開始する。代表取締役社長には帝人の持永宣雄経営企画室eC推進担当部長が就任する予定。社員数は10名程度。FF社のサイトは、参加各社と原材料・資材の供給元である各サプライヤー間での「調達サイト」と、参加各社とファイバー製品を購入するテキスタイルメーカー・糸加工メーカー等との間での「販売サイト」の2つを運営する。調達サイトは、繊維業界の総合調達サイトとして構築、販売サイトは、One-to-One機能を持ったファイバー取引サイトとして構築、それぞれで業界全体の業務効率化を目指す。収入源は利用各社の会費で、数万円程度でIDを発行する。サイト利用のメリットとしては、取引の迅速化や業務処理コストの削減、業務プロセス改革、調達コスト削減、顧客満足度向上、取引先、チャネル拡大、システム開発投資の低減などを挙げている。具体的な数値目標としては、2001年度にサイト取扱高300億円、会員者数60社、2002年度はそれぞれ600億円、100社、2003年度には1,000億円、170社を掲げている。現在のイメージでは、従来の取引に比べ10%程度のコストダウンにつながると見ている。また、帝人、東レの両社は、同スペックの製品について、独禁法などの問題がなければ、共同による調達を行う可能性も示唆した。
 東レの平井克彦社長による説明のあと、帝人の安居祥策社長は「世界中の色々な会社がECを推進しようとしているが、日本の繊維産業の中で皆がECを出来ればよいと思い、平井社長に提案した。1つのシステムを色々な会社が使うことで、コストメリットが出てくれば良いと思う。2社だけでなく、日本の繊維業界の皆さんに参加、出資して頂きたい」と語った。
 またNECの西垣浩司社長は、「我々は、21世紀に向け全社のリソースをインターネットに集中し、ITソサエティの実現を目指している。今回の取り組みは、企業の枠を越えたものであり、当社も単なるシステムベンダーではなく、ITパートナーとして積極的に参加する考えだ。いまやECは、資金、資産、ブランド力のアル企業がメインとなる第2段階に入っており、21世紀に向けて繊維業界の大きな発展につながるだろう」と語った。

[新会社の位置付け]
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[調達サイト機能イメージ]
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[販売サイト機能イメージ]
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