2000年12月07日
丸善石化など共同チーム、世界初の「内部熱交換型蒸留塔」開発に成功
画期的な「二重管」構造、30%以上の省エネ効果確認
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:丸善石油化学、NEDO

 木村化工機、丸善石油化学、関西化学機械製作所の3社と工技院物質工学工業研究所の研究グループは、このほど世界で初めて「内部熱交換型蒸留塔」(HIDiC)の実証運転に成功した。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進めている「未利用エネルギーの回収・変換技術」研究プロジェクトの一環として4者で研究に取り組んできた。
 
 現在石油精製や石油化学工場で使用されている蒸留塔は、タワー上部(濃縮部)で集中冷却、下部(回収部)で集中加熱が行われておりエネルギー・ロスが大きい。そこで丸善石油化学などのグループはタワーの内部を二重管構造にし、塔全体で熱交換を行うという画期的な構造プロセスの研究に取り組んできた。
 昨年末、丸善石油化学千葉工場内に高さ約18メートル、直径約25センチのベンチプラントを完成、石油留分からベンゼン/トルエンを分離する実証試験を行ってきたが、100時間以上の連続運転によって、ベンゼン純度99.9%以上、トルエン純度99.8%以上と高品質のベンゼン、トルエンが効率よく得られ、省エネ効果も30%以上と、期待通りの成果が確認された。
 NEDOのプロジェクトは期間7年、2000年度は最終年度に当たるが、「引き続き実用化のため第二段階の研究に入りたい。多管式の構造にも挑戦したい」と丸善石化技術陣はいっている。共同研究への参加を他の企業にも呼びかけるという。

<写真>丸善石油化学千葉工場内のHIDiCプラント
http://c-nt.co.jp/news/HIDiC.jpg>