2013年03月26日
「化学遺産」に国産アンモニア合成技術
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工、日本化学会
昭電が川崎に保有するアンモニアガス循環機

昭和電工の前身である昭和肥料が1931(昭和6)年、わが国初の国産技術(東工試法)、国産機械によるアンモニアの合成に成功(川崎事業所)し、その後の化学業界発展に大きく貢献したとして、23日、日本化学会から「化学遺産」の認定を受けた。

“この時代、(工業化は)はほとんどすべて外国技術によって行われたが、昭和肥料は周囲の反対と不安のなかで非常な苦心をして国産技術による企業化に成功した”と、鈴木治雄・元昭電社長が昭和43年、副社長時代に書いた「化学産業論」のなかで紹介している。

「触媒還元用ヒーターのスイッチを入れ運転に入ったが、5日経っても
合成塔の温度が上がらない。(技術者たちは)工場に泊まり込んで腐心に腐心を重ねた。鈴木三郎助社長は病床にあった・・・」と、“化学遺産にふさわしい”当時のエピソードを語っている。

日本化学会の「化学遺産」認定は平成21年度のスタートから4年目。認定件数は、今年度の5件を含めて計22件となった。

遺産を後世に伝えていくことは大切だが、この先はどうか。次の世代に残す“大型技術”が果たして今の化学業界から出ているのだろうかも気になるといえそうだ。