2000年11月22日
三洋化成と三菱化学、高級水樹脂事業を統合
来年4月に研究開発・製造・販売の合弁会社設立
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三洋化成、住友精化、日本合成化学、三菱化学

 三洋化成工業と三菱化学は22日、両社の高級水性樹脂(SAP)事業を統合、合弁会社を設立することで合意した、と発表した。
 来年4月をめどに研究開発・生産・販売まで一体となった合弁会社を設立する。出資比率は三洋化成工業60%、三菱化学40%、資本金および社名は未定で、本社は東京都千代田区を予定し、社長は三洋化成より就任予定。
 生産能力は三洋化成・名古屋工場の年産8万5,000トン、三菱化学と日本合成化学との製造合弁会社であるダイヤポリアクリレート・大垣の1万トンを合わせ9万5,000トン能力となる。初年度の売上高は110億円を見込む。
 新会社の国内マーケットシェアは三洋化成の約28%(推定)と三菱化学約7%を合わせて約35%となり、住友精化の25%など2位以下を引き離すことになる。
 三洋化成は、1975年にSAPの開発に成功し、1978年世界で初めて商業ベースでの生産・販売を開始している。一方、三菱化学はSAP原料のアクリル酸メーカーで、原料からの一貫体制の強みを生かして1987年からSAPの生産・販売を開始している。同社では関連会社の日本化学工業もSAPの生産・販売をしており、両社は事業合理化のため1996年に合弁会社を設立、設備面では四日市の1万トン設備を休止、大垣での懸濁重合法(パール重合法)に特化している。新会社設立にあたり、三菱化学はダイヤポリアクリレートの日本合成化学持株49%を買い取る。
 SAPの需要量は世界全体で年間約80万トン(うち国内約9万トン)と推定されているが、1990年代以降市場の国際化が進展、コスト競争力の点から事業戦略の再構築が急務となっていた。
 このような状況の中で、両社では設備、技術、営業力を統合することで、国際競争力を高める。新会社では三洋化成の水溶液重合法によるポリアクリル酸系およびデンプン-アクリル酸系の幅広いSAPをそろえるとともに、三菱化学が持つ懸濁重合法(パール重合法)によるポリアクリル酸系SAPをそろえることになる。

<参考>
社名:未定
社長:三洋化成工業より就任予定
本社:東京都千代田区(予定)
営業開始:2001年4月1日(予定)
資本金:未定
出資比率:三洋化成工業60% 三菱化学40%
事業内容:高級水性樹脂の研究開発、生産、販売
売上高:110億円/年(初年度見込み)
従業員数:約65名(予定)
生産拠点:愛知県東海市、岐阜県大垣市
生産能力:9万5,000トン/年