2013年11月27日
十倉・住友化学社長「経営課題」取り組みに意欲
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学
十倉雅和住友化学社長

住友化学の十倉雅和社長は27日記者会見し、2013年度を起点とする3カ年中計進捗状況を説明した。
この中で、経営課題である千葉工場の再構築や、MMA、カプロラクタムなど基礎化学部門の再構築計画が順調に進んでいる点を強調した。

当面の経営課題として、(1)石油化学事業の抜本的競争力強化(2)ライフサイエンス事業のクリティカルマスの確保(3)将来の核となる新規事業の育成ーを3本柱に挙げた。

石油化学事業では、「日本、シンガポール、サウジの3拠点の特徴を活かして、グローバルに展開中だ」とした後、マザー工場・ラボとなる千葉工場についてはエチレンプラントの停止分(40万トン)を京葉エチレンからの引き取り比率アップでまかなうと説明。誘導品では千葉スチレンモノマーの合弁を解消したのに続いて、日本オキシランの生産を停止すると発表した(別掲)。今年12月に同社を完全子会社化することについての質問には「その方が停止などの措置を運びやすいと考えた。先方(ライオンデル)も了解している」と答えた。今後も輸出比率の高い事業を中心に整理していく方針だ。

ラービグの現状については「プラントの操業は好調だ。原料コストはシェールガスなどよりも安いし、需要も広がっている。第2期計画を着実に進めたい。ただ、昨年末から停電のためプラントが長期停止したことが2回あった。このため現地工場の持つ有利な条件がまだ本当にに発揮されていない。これから利益貢献度の最大化をめざす」とした。

基礎化学部門ではコア事業であるMMAとカプロラクタム事業の再構築に意欲を見せた。
MMAは、アジア地域の需要は増加しているものの、PMMAの主用途である導光板向け需要は急減している。このため愛媛工場の年産45,000トン設備をシンガポールに移す計画。カプロラクタムも競争力強化のため生産体制の最適化を図る。

スペシャリティケミカル部門はポートフォリオの高度化により情報電子化学、健康・農業関連、医薬品の3事業の強化を急ぐ。情報電子部門ではとくにスマートフォン・タブレットPC市場拡大をビジネスチャンスと捉え、中小型ディスプレイ用偏光フィルムなどの販売拡大をめざす。

中計最終年度となる2015年度の目標数値は、売上高 2兆4000億円(13年度予想 2兆2300億円)、営業利益1400億円(1050億円)、経常利益1500億円(1000億円)、純利益900億円(300億円)。「今後さらに事業基盤を強化していけば、目標達成は十分可能だ」と今後の取り組みに自信と意欲を見せた。