2014年03月13日
化学会、射出成形機など6件を第5回化学遺産に認定
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学会

日本化学会は、第5回化学遺産認定として「日本のプラスチック産業の発展を支えたIsoma射出成形機および金型」など6件を認定した。これにより化学遺産認定は28件に達した。
これは日本化学会が、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用を推進するため、歴史資料の中でも特に貴重なものを認定しているものである。概要は次の通り。

(1)「日本の近代化学の礎を築いた櫻井錠二に関する資料(石川県立歴史博物館など)」明治から昭和前期に活躍した化学者で、日本の化学研究、学術研究体制の基盤を築き上げた。理化学研究所や日本学術振興会の創設にかかわり日本の学術研究の体制を築いた。

(2)「エフェドリンの発見および女子教育に貢献のあった長井長義関連資料(大日本住友製薬など)」
明治新政府の海外派遣留学生としてベルリン大学にわたり、帰国後東京大学教授として化学・薬学を指導し、麻黄の薬効成分を単離・構造決定し、エフェドリンと命名した。

(3)「旧第五高等学校化学実験場および旧第四高等学校物理化学教室(熊本大学など)」旧第五高等学校は化学実験場は1889年に建設され戦後、熊本大学に継承された。第四高等学校物理化学教室は1890年に建設され戦後、金沢大学に継承された。

(4)「化学技術者の先駆け宇都宮三郎資料(早稲田大学)」
宇都宮三郎は、幕末に舎密開宗を独習するなどして化学の腕を磨き、蕃所調所=東京大学の源流の精煉方=化学方で技術の向上と後進の指導に努めた。

(5)「日本のプラスチック産業の発展を支えたIsoma射出成形機および金型(旭化成ケミカルズなど)」
1920年にドイツで発明され、1933年に画期的な機械駆動式横型射出成形機Isomaが開発された。日本には1937年に旧式射出成形機が初めて輸入され、翌年にはそれをモデルにした手動式機会が初めて国産化された)の合計6件を認定した。

(6)「日本初のアルミニウム生産の工業化に関わる資料(昭和電工)」
昭和電工創設者の森矗昶は、輸入に頼るしかないボーキサイトに代わり、長野県大町の水力発電による電気を使って、電解精錬によるアルミニウムの生産に挑戦し、1934年に日本初の国産アルミニウムの工業的生産に成功した。