| 1999年12月13日 |
| エンドクリンシンポ、多数の新データの発表が収穫 |
| ”母乳問題”では従来と異なる実験結果も明らかに |
| 【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:なし |
「これまであまり知られないできた新しいデータが多数紹介されたこと、これが今回のシンポジウムの最大の収穫」。環境庁主催の『第二回内分泌攪乱化学物質問題に関する国際シンポジウム』が予定のスケジュールをスムースに消化して閉幕した11日夕、鈴木継美・日本内分泌攪乱化学物質学会会長は三日間を振り返ってこう総括した。 同シンポジウムでは、合計15カ国とOECDから集まった大勢の研究者や行政担当官および関係業界団体の代表などが、終始、熱のこもった発表と質疑応答を繰り広げた。初日のナイトセッションにも約1,000人が出席、時間をうまくやりくりできなかった多くの人が夕食抜きで予定の時間を大きくオーバーする10時近くまで熱心に討議に参加していた。 こうして盛況のうちに閉幕した今回のシンポジウムに対する参加者の評価はおおむね良好であった。鈴木会長が指摘したように、前回(昨年12月)の京都会合以降に新たに明らかになったデータや見解の多くが詳細に紹介されたことによるものと言ってよいようだ。中でも、”精子の数は、主として人種や地域や年齢によって異なることが突き止められた”とする発表(コペンハーゲン大学病院のニール・スカケベック博士、コロンビア大学のハりー・フィッシュ教授)や、”日本国内の消費者グループの一部が主張してきた母乳に対する内分泌攪乱化学物質の関わりを示すデータに矛盾があることがわかった”という指摘(国立環境研究所の遠山千春部長)、さらには、”EDA(最大摂取許容量)の1,000倍のスチレンダイマー・トリマーをラットに投与しても母と子の双方に何ら異常が見られないことが実験で確認できた”との報告(食品薬品安全センターの長尾哲二室長)などは大きな話題を呼んでいた。 一方では、”ビスフェノールAは前立腺機能に悪影響をおよぼすエストロゲン作用を有し、古くなった哺乳ビンからは大量に溶出する”(ミズーリ大学のフレデリック・フォンサール教授)といった衝撃的な発表もあったが、多くの専門家の反応は、”同教授の実験には再現性がまだ認められていない”とクールなものであった。 ともあれ今回のシンポジウムでも、主催者や発表者から安全性の有無に関して統一見解が示されることはなく、スチレンダイマー・トリマーなどを除くと同物質問題には依然として未解明な点が多いことが改めて浮き彫りになったと言える。こうしたなかでなお、化学物質追放運動家として著名なジョン・ピーターソン・マイヤーズ氏のように”安全性が証明されない化学物質は早急に規制されるべき”と強く主張する向きも一部には見られた。しかし結局は、最終日のパネルディスカッションにおけるハーバード大学のジョン・グラハム博士の見解表明、すなわち”もともとリスクがまったくない化学物質は存在しない。したがって、現実の世界では全ての化学物質について問題が何もないことを完全に確認して完全な予防措置を講じるのは無理。適正な規制を実現できるだけのデータもまだない。このため当面は、経済上のメリットなど社会的なニーズも考慮しつつ選択的に科学的な確認作業を進めていくほかない”とのコメントが参加者の圧倒的多数が共感を口にしながら散会となった。 |