1999年12月10日
BPAの安全性めぐり意見が真っ向から対立
環境ホルモンシンポジウムで大きな反響
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:なし

 9日に神戸で開幕した「第二回内分泌撹乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」においてミズリー大学のフレデリック・フォンサール教授が発表したビスフェノールA(BPA)の安全性に関する動物実験の結果が同シンポジウムに参加した多くの関係者の間で大きな反響を呼んでいる。
 フォンサール教授は、BPAとDESが胎児の生殖器官に損傷を起こすといわれている点に着眼してマウスを使って実験した結果を発表した。同教授は、低容量の暴露によって前立腺の永続的肥大が生じることが確認できたという。そして、現在決められているADI(一日当たりの許容摂取量)のオーダーを引き下げる必要があるとも指摘した。
 しかしこれに対しては、同シンポジウムに参加した内外の多くの専門家が反論を展開している。その一人のジェームスC・ラム氏(BBLサイエンス副社長)は、”この種の実験結果は、他の専門家や専門機関が同じ方法で実施して同様の結果が出て初めて信頼性が生まれる。その点、フォンサール氏の発表内容には疑問が生じる。同氏は、同種の実験結果が10件存在すると主張しているが、それぞれ内容が異なる。したがって、同じ結論が導き出されているというのは誤りだ。それに、はじめの発表と二度目の発表ではマウスの体重の増減について逆の報告が行われている点も問題”と述べている。
 また、川崎一氏(日本化学協会エンドクリンワーキンググループ主査)も”今年4月に米国の学会の代表や行政担当者が民間企業の専門家も含めて開催したトキシコロジー・フォーラムでフォンサール氏の実験結果についても論議され、追試が行われたが、同じ結果はえられなかった。しかも、フォンサール氏は一度しか実験していない。リピートされないと信頼できるとはいえない”と疑問を呈している。
 フォンサール氏は、昨年12月に開催された第一回のシンポジウムでもBPAの安全性を否定する独自の実験結果を発表して注目された。しかし、内外の専門機関や専門家が同じ実験を実施したところ、再現できなかったとの報告が相次ぎ、事実上、同氏の主張は学会では否定されている。今回の発表についても同じパターンの繰り返しとなる可能性がある。