2015年03月13日
日本化学会、高圧油脂分解器など5件を化学遺産認定
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学会

日本化学会は13日、第6回化学遺産として工業用アルコールの発祥、塗料工業の発祥、ナイロン工業の発祥など5件を認定したと発表した。認定した遺産の具体的内容は、3月27日午後1時30分~5時、日本大学理学部船橋キャンパス(千葉県船橋市習志野台)で開催する「第9回化学遺産市民公開講座」で紹介する。

今回認定したのは、次の5件。
(1)「早稲田大学蔵 宇田川榕菴化学関係資料」 :「舎密開宗」の著書で知られる宇田川榕菴が遺した化学研究の足跡を示す資料群が早大図書館に所蔵されていた。
(2)「工業用高圧油脂分解器(オートクレーブ)」 :油脂化学工業の近代化は油脂の分解による高純度脂肪酸及びグリセリンの製造でスタートした。ライオン石鹸工場(現ライオン)が所蔵する明治43年製の高圧油脂分解器は現存する日本最古のオートクレーブ。
(3)「日本の工業用アルコール産業の発祥を示す資料」 :1934年に昭和酒造(現メルシャン)が無水アルコールの大規模生産を開始した。1938年5月操業開始の国営出水アルコール工場(現日本アルコール産業)のもろみ塔は工業用アルコール産業の発祥を示す資料として貴重。
(4)「日本の塗料工業の発祥を示す資料」(塗料の国産化は1881年に日本ペイントの前身である光明社が設立されたことに始まる。当時のボイル油製造設備などが日本ペイントに保存されていた。
(5)「日本のナイロン工業の発祥を示す資料」(1939年に米国デュポンが開発したナイロン繊維のインパクトが日本にも広がり、戦後東洋レーヨン(現東レ)がいち早く工業化した。東レ所蔵の第1号ナイロン紡糸機や東レとデュポンとの技術援助契約調印式の写真などが資料として認定された。

日本化学会では、3月28日に日大理学部船橋キャンパスで開催する春季大会で「化学遺産認定証」を贈呈する。