2000年10月11日
カネボウの二次電池、「白川氏のノーベル化学賞」で脚光
導電性プラスチック理論応用、いち早く事業化
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:カネボウ

 白川英樹筑波大学名誉教授に晴れのノーベル化学賞が決ったが、わが国でいち早く同氏の「導電性ポリマー」理論に着目し、「ポリアセン二次電池」(商品名『PAS』)として事業化に成功したカネボウでは喜びに沸き返っている。
 同社によると、白川教授(当時東工大)が「導電性ポリマー」の研究成果を発表したのは1976年だった。発表内容は「ポリアセチレン」だったが金属類を添加しなくても電気を通す点に着目し、フェノール樹脂に応用できないかと考えた。白川氏と連絡をとり同社の開発研究所でさらに研究した結果、携帯電話用などの二次電池として商品化に成功、1989年から上市した。
 『ポリアセン二次電池』は、大きさが4ミリ~20ミリのコイン型で、金属類を全く使用していない世界でも初めての高分子素材電池で、軽量、高容量、安定性に優れている上、環境対策上の問題がない、などの特徴がある。
 携帯電話などの二次電池用として使用すると、本体電池が切れたときにも時計機能や記憶保持用に必要な電気はバックアップできる。
 同社では現在防府工場(山口県)などで生産、製品は全世界に販売されており年商約50億円。「この技術をベースに大型バッテリー開発にも挑戦中です。早い時期に売上げ100億円台に乗せたい」といっている。