2015年08月20日
NIMS、長波長の太陽光利用 ペロブスカイト材料開発成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:物質・材料研究機構

物質・材料研究機構(NIMS)は、800nm以上の長い波長の太陽光を利用できるペブスカイト材料を、高品質に作製する新しい方法を世界に先駆けて開発したと発表した。

現在のペロブスカイト太陽電池は、太陽光の吸収範囲が短い波長側に偏っており、より高い変換効率を目指して、長い波長の領域も利用できる材料の開発が課題となっている。そこで、長波長領域の光も吸収できる2種類のカチオン(MAとFA)を混合したペロブスカイト材料の開発が各研究機関で進められているが、この2種類のカチオンは、混合比率を制御しにくく、また結晶温度の制御も難しいという欠点があった。

NIMSでは、これらの問題を解決する新しい混合カチオン系のペロブスカイト材料の作製方法を開発した。この方法で得られたペロブスカイト材料は、単一結晶相であり、蛍光寿命が長いため、ペロブスカイト材料中の電子再結合が少なく、電子寿命が長いことが判明した。この材料を用いた太陽電池は、従来型のペロブスカイト材料より太陽光に対する感度が40nm広く、840nmまで伸びたため、同じ条件で作製したペロブスカイト材料を用いた太陽電池より短絡電流が高くなった。
今後は、2種類のカチオンの比率を調整することにより、太陽光の広い波長領域を利用できる高品質のペロブスカイト太陽電池の開発を目指す。