2015年11月02日

NIMS、高効率ペロブスカイト太陽電池開発

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：物質・材料研究機構

物質・材料研究機構（NIMS）は2日、「新型太陽電池」として注目されるペロブスカイト太陽電池で、これまで電子抽出層とホール抽出層に用いられていた有機材料を無機材料に変更することで、セル面積1cm2以上で変換効率を16％に向上させ、実用化の目安とされる信頼性テストをクリアしたと発表した。 ペロブスカイト太陽電池は、現在のシリコン系などと比べて格段に安くつくれる太陽電池として期待されている。だが、これまでに報告された研究成果はいずれもセル面積が約0.1平方センチと小さく、実用化にはセル面積の拡大と信頼性の向上が急務とされてきた。 NIMSの研究チームは、これらの問題を解決するため、電子抽出層とホール抽出層に用いられた有機材料を無機材料に変更した。これにより大面積でもピンホールの少ない10－20ナノメートルまで厚い層を使用することができるようになり、面積1cm2以上のセルで再現性良く効率16％を得ることができた。 さらに、実用化の目安とされる「光強度1sunの太陽光で1000時間」の連続照射をしても、変換効率の低下が10％以内に抑えられ、優れた信頼性を示した。今後は太陽光をより多く利用できる高性能材料を開発するとともに、界面を制御することによって、より高い変換効率と信頼性を持つペロブスカイト太陽電池の開発を目指す。 同研究成果は「Science」誌オンライン版で10月30日に公開された。