2015年11月24日
理研など、自然リンパ球によるアレルギー抑制機構を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所、慶応大学

理化学研究所は24日、慶應義塾大学・加畑宏樹助教(医学部呼吸器内科)らとの共同研究チームが、自然リンパ球によって発症するアレルギー炎症を抑制するメカニズムを解明したと発表した。

共同研究チームは、2010年に新しいリンパ球「ナチュラルヘルパー細胞(NH細胞)」を発見。その後、さまざまな類似の細胞が報告され、今ではこれらを「2型自然リンパ球(ILC2s)」と呼ばれている。

共同研究チームは、アレルギー疾患を根本的に治療するためには、ILC2sの抑制メカニズムを解明する必要があると考え、ILC2sを抑制するサイトカインを探索し、1つずつスクリーニングした。その結果、インターフェロン(IFN)とインターロイキン-27(IL-27)と呼ばれる2つのサイトカインがILC2sの増殖・機能を抑制することを発見した。

さらに、喘息のモデルマウスにIFNあるいはIL-27を投与したところ、肺でのILC2sの増殖を強く抑えることができ、喘息炎症症状である好酸球浸潤や粘液過剰分泌、気道過敏性を抑えることに成功した。また寄生虫感染についても、虫体が体外に排出された後、IFNとIL-27がILC2sの活性化を抑え、炎症を収束させることが明らかになった。
今後、アレルギーの発症・増殖メカニズムの解明や新しい治療法の開発が可能になると期待される。