2000年09月28日
松下電器と東レ、PDP事業で提携~来年6月に新会社スタート
350億円投じ大阪地区に工場建設~2年以内の黒字化目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:東レ、松下電器産業

 松下電器産業と東レは28日記者会見し、大型ディスプレイとして今後の成長が見込まれるプラズマディスプレイ(PDP)事業における提携に合意し、同日付で調印した。これにともない来月中旬にも合弁会社「松下プラズマディスプレイ」を設立、2001年6月から大阪府の茨木と高槻の工場で生産を開始する。2年以内の黒字化を目指しており、民生用を中心に事業を展開する考え。
 新会社は、資本金12億円(設立時、順次増資予定)で10月中旬の設立を予定しており、松下電器が75%、東レが25%出資する。新会社は、松下電器から背面版を除く、パネルからセット完成品までの製造技術を、東レからは背面板製造技術の供与を受け、デバイスからセット完成品までの一貫製造を行う。社長には松下電器・PDP事業部長の森田研氏が兼任で就任する。操業時の従業員数は約300名で、生産部門は松下電器から、技術部門については両社から人員を拠出する。また販売は、松下電器のPDP事業部を通じて行う。
 松下電器は現在、茨木市の前テレビ工場を改造して最新鋭のPDP工場の建設を進めている。2001年6月の操業開始時には、茨木工場でPDPおよびPDPテレビを製造、高槻工場では背面板を製造する。生産能力は当初月産1万台でスタート、2002年をめどに月産3万台に引き上げる。ここまでが第1期計画で設備投資額は約350億円を計画、引き続き第2期計画を検討していく。
 PDPは家庭用、業務用を問わず、来るデジタルネットワーク時代を支える最も有望な映像表示装置として内外の注目を集めており、2005年には全世界で400万台強、1兆3.000億円市場になると見られている。この高成長で、技術進歩の速い分野においては高度な技術の融合による高効率・高品質な技術開発と生産体制が不可欠であり、今回の提携により松下電器のエレクトロニクス技術と東レの材料技術の相乗効果を発揮、さらなる技術開発力およびコスト競争力の強化を図るとともに、よりスピーディでフレキシブルな製品供給を実現、21世紀のPDP事業において確固たる基盤の構築を目指す。
 松下電器は、長年培った映像技術とプロセス技術をもとに、非対称セル構造パネルやプラズマAI、リアルブラック駆動方式などの独自技術を有している。一方、東レは、高度な材料技術、微細加工技術を生かし、PDPの心臓部である背面板製造において、独自に開発し、コスト競争力や自由な加工を実現する感光性ペースト法と精密塗工技術を有しており、今後もPDP他部材への技術展開も進めていく考え。
 PDPは、現在1インチ=2万円とまだ高価であるが、新会社は民生用の需要が業務用を上回る2004年をめどに1インチ=1万円をターゲットとして、民生用を中心に展開、来年6月の操業開始後2年以内の黒字化を目指す。また現在松下電器のPDPのシェアは10%程度だが、新会社は30%のシェア獲得を目標としている。