2016年01月08日
埼玉医大、ミトコンドリア病原因遺伝子3つ発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:文部科学省

埼玉医科大学の岡崎康司教授(ゲノム医学研究センター)らは8日、ミトコンドリア病の新たな原因遺伝子を3つ発見したと発表した。142例の患者に対して、初めて網羅的にゲノム解析を行った。

幼少期のミトコンドリア病は高乳酸血症・筋力低下・知的退行・心筋症状・肝機能障害など多彩な症状生じ、重篤なケースにいたる場合もあって、日本でも指定難病の1つとなっている。だが約半分の症例で原因遺伝子が不明のため、複雑な遺伝的背景がつかめなかった。

岡崎教授らの共同研究グループは今回、ミトコンドリアの機能障害を示す患者142例を対象にゲノム解析と候補遺伝子の機能解析を行った。この結果、新たな原因遺伝子としてMRPS23、QRSL1、PNPLA4と3つを明らかにした。また新たに37の遺伝子異変をすでに知られている原因遺伝子配列中に発見した。一部の症例は、症状が類似する他の遺伝子疾患であったことも分かった。今後のゲノム情報を利用する診断・医療・創薬への展開につながる知見、としている。

研究は東北大学、東京大学、首都大学などの協力や、文部科学省の研究プログラム支援で実現した。

研究成果は米国科学雑誌「PLOS Genetics」(1月8日付)オンライン版に掲載された。