2016年02月04日
東北大とNIMS、貴金属・レアアース使わない排ガス触媒開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:物質・材料研究機構、東北大学

物質・材料研究機構(NIMS)と東北大学は共同で、貴金属やレアアース(希土類金属)を一切使わない高性能排ガス触媒のナノボーラスNiCuMnO金属複合化合物の開発に成功したと発表した。

これまで、プラチナ(pt)、パラジウム(pd)などの貴金属やセリウム酸化物などのレアアースの酸化物が自動車用排ガスに使用されている。しかし、資源が偏在し、資源量が限られていることや、市場の価格変動が大きいことなどから、それらの元素を含まない排ガス触媒の開発が求められていた。

東北大学は、銅・ニッケル・マンガンの合金からマンガンを選択腐食することで、ナノポーラスNiCuMnO金属複合化合物を開発した。排ガスの成分である一酸化炭素や一酸化窒素の除去反応として知られるCO酸化・NO還元反応に活性であり、長時間の高温使用にも耐えられる特有のナノ構造になっていることを明らかにした。また、世界で初めてNO還元反応の様子を透過電子顕微鏡によってその場観察にも成功し、その特有のナノ構造が触媒反応によって引き起こされることを突き止めた。

この触媒は、合金粉末を酸に漬けるだけで作製できるため、大量生産が可能となる。また、得られた触媒の設計指針を応用した、さらなる高性能な排ガス触媒の開発も期待できる。