2016年03月04日
防衛医大と早大、手術に使える癒着防止ナノ絆創膏発表
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:早稲田大学

防衛医科大学の研究グループは早稲田大学、名古屋大学医学部の研究グループとの共同研究により、膜厚80nmの薄膜ナノ絆創膏をマウスの傷ついた腸に貼り、腸の癒着を防止できることを世界で初めて報告したと3日発表した。

ナノ絆創膏は、体に吸収されるポリ乳酸で作られており、感染を増悪させる作用がないため、従来有効な対策がなかった穿孔性腹膜炎時の腸癒着の予防に役立つとしている。

腹部の手術をしたさい、腸が癒着して食事が通りにくくなることがある。手術に成功しても、後で腸の癒着に苦しむというケースはしばしば生じる。とくに腸に穴が開いて起こる穿孔性腹膜炎の場合は腸の癒着が起こりやすいが、現在、有効な治療法がない。小児の場合は成長障害がおこり深刻な問題となることもある。

防衛医大の研究グループは、細胞膜と同じ薄さ程度のナノ厚のシートを早大チームとの共同研究で開発してきた。接着剤なしでもあらゆる臓器や組織の表面に隙間なくぴったり貼付できる、“ナノ絆創膏”といえるシートだ。。傷ついた部位の被覆治療に使えるだけでなく、癒着防止効果と傷の治りを促進させる効果がある。今後、臨床現場での高い有用性が期待される。

同研究成果は、英国外科学会誌British Jounal of Surgeryの3月3日(現地時間)電子版および5月103巻第6号誌上に掲載される。