2000年09月20日
トクヤマ、窒化アルミニウムの生産能力倍増へ
急激に増大する需要に応え供給体制を増強
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:トクヤマ、化学工学会

トクヤマは20日、徳山製造所(山口県徳山市)で製造している高放熱セラミック基板材料である窒化アルミニウム(商品名:シェイパルR)の原料粉末製造設備を増強し、2001年以降、現有能力240トン/年を倍増して480トン/年に引き上げることを決定した、と発表した。
 窒化アルミニウム原料粉末は今年デボトルネッキングにより現有能力に引き上げたばかりだが、既存用途に加えて、新規用途の急激な拡大により2001年には供給不足となることから計画を前倒しして増設に踏み切るもの。
 今回新設する第二系列は現有の第一系列と同規模の240トン/年の設計だが、当面2001年6月完成時は120トン/年でのスタートとし、その後の需要動向を見ながら2002年以降追加投資によりフル能力の240トン/年に引き上げ、第一系列と併せて480トン/年の能力とする計画。一連の投資金額は約20億円の見込み。
 同社の窒化アルミニウム(AlN)事業は、1981年に研究を開始、1985年には世界で初めて透光性焼結体の製造に成功し、高い性能が脚光を浴びた。このAlNは高い熱伝導性、高強度、半導体シリコンに近い熱膨張率などの特長をもち、特に熱伝導率においては金属アルミニウムを上回る性能を達成している。半導体実装の現場では、半導体の高密度化、ハイパワー化の流れの中で、半導体から発生する熱をどう処理するかが大きな問題点となっているが、絶縁性でかつ高い放熱性を有するAlNはこのような問題を解決する新素材として期待されてきた。
 なお、同社は 窒化アルミニウム「シェイパルR」で次のような賞を受賞している。
・1996年 日本セラミック協会「技術賞」
・1997年 日本材料学会「技術賞」
・1998年 日本発明協会「内閣総理大臣賞」
・1999年 電気化学会「技術賞(棚橋賞)」
化学工学会「技術賞」