2016年07月14日
NIMS、ハサミで好きな形に切れるディスプレイ開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:物質・材料研究機構

物質・材料研究機構(NIMS)の研究グループは、ハサミで好きな形に切れる新しいディスプレイを開発したと発表した。好きな形に切り取って使用できるため、衣服や建物など複雑な形状のものに張り付けて使用するなど、これまでのディスプレイでは表現できない様々な表示用途への利用が可能になる。

文字や絵が表示できる一般的なディスプレイは、携帯電話などに使用されている。しかし、これまでの液晶や有機ELは水や酸素などの不純物に弱いため周囲を封止する必要がある。また表示のために電気を流し続ける必要があり、電源や駆動装置と一体化されていて、ハサミは入れられない。

今回、NIMSの樋口昌芳氏らの研究グループは、これまで研究してきたエレクトロクロミック特性を持つポリマー(有機/金属ハイブリッドポリマー)を使用して、ハサミなどで好きな形に切ることができるディスプレイを開発した。このポリマーは、スプレーでコートすることでフレキシブル基板上にきれいに製膜することができ、さらに湿気や酸素に対する高い安定性も有している。

また、表示を変えるには電気を数秒流すだけでよく、電源を切っても表示が保持される。そのため、電源ユニットを取り外して使用することができ、好きな形に切り取った後でも表示を変えられる、新しいシートディスプレイとして使用できる。

今後は、ディスプレイの大面積化と多色化を目指す。乗り物や建物の窓や外装・内装、また傘やサングラスなど、様々なものの色を自由に変えたり、必要に応じて文字や記号を表示できる「色の着替えを楽しむ新しいライフスタイル」を提案していくことにしている。